本研究の目的は,自動運転車両を用いたモビリティサービスの望ましいサービスレベルを明らかにすることである.最終年度にあたる令和4年度は,これまでの対象地域である愛知県春日井市高蔵寺ニュータウンに加え,名古屋市名東区の住宅街を対象に,自動運転相乗りサービスの導入効果を分析した.前年度構築した,低速自動運転車両を対象にした相乗りサービスのエージェントベースシミュレーションを,通常の車両速度で走行する自動運転電気自動車を想定したシミュレーションに改良した.具体的には,充電施設を設定し,バッテーリーの残量が少なくなると充電するルールを設定し,充電回数や総充電時間を算出するようにした.昨年度は自動運転タクシーを想定していたが,今年度は,通勤時にパークアンドライドをする車両が駐車中に乗客を乗せることを想定したパークアンドライド自動運転電気自動車タクシーについて検討した.シミュレーションから得られる結果は,事業者の視点からトリップ数,相乗り率,車両利用率,充電回数や充電時間,利用者の視点から待ち時間,目的地までの移動時間などである.構築したシミュレータを用いて,利用者数による相違や,電気自動車とガソリン車の場合の比較,相乗りの有無で比較を行った.その結果,ニュータウンと都心部に近い住宅街でも同様の傾向を示し,利用者にとっても事業者にとっても望ましいサービスレベルとしては利用者40人/日に1台の車両が必要であることが分かった.また,電気自動車を利用することにより,CO2排出量が40%-50%削減可能であることが示された.
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