研究課題/領域番号 |
19K04652
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松尾 幸二郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50634226)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歩行者衝突警報 / プローブデータ / 交通安全管理 / 対策効果評価 / 事前事後分析 |
研究実績の概要 |
歩行者衝突警報(PCW)情報を活用して抽出された潜在的な歩行者事故危険地点2地点について,豊橋市および愛知県警察と連携の下,2019年度中に対策の検討および実施がなされた.そこで2020年度は,当該対策実施箇所について,PCW情報を用いて事前事後分析を行い,対策の効果評価を行なった. 地点①:中央線のない30km/h規制の生活道路上の小規模交差点で,ある方向から交差点へ進入する際のPCW発生率(PCW発生数/対象プローブ車両通過量)が高かったことに加え,車両速度が慢性的に30km/hを超過していたため,2019年6月に交差点手前左側にポストコーンが1本設置された.本来であれば数本設置するところであるが,地元との調整により1本となった.データ収集期間は事前が約21.5ヶ月,事後が約12.5ヶ月であり,事前に比べて事後のPCW発生率が約2/3,30km/h超過PCW発生率が約1/3と減少した.ただし,もともとPCW発生率のスケールは小さいため,統計的な優位性を示すにはより多くのデータが必要であり,事後データをさらに継続して取得して分析を続ける必要性が示された. 地点②:片側1車線道路上の無信号横断歩道で,ある方向から進入する際のPCW発生率が高かったことに加え,指定通学路で児童の横断箇所にもなっていことから,2019年8月に横断歩道の位置を少し変更され,押しボタン式の歩行者専用信号を設置された.データ収集期間は事前が約23ヶ月,事後が約11ヶ月であり,事前に比べて事後のPCW発生率が約1/6へ減少するとともに,事後は30km/h超過PCWが発生しなかった.データ量は地点①と大きくは変わらないが,PCW発生率の減少量が大きかったため,統計的にも有意な減少であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた歩行者衝突警報を用いた対策効果評価が実施でき,その課題や有用性を把握できたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本手法について道路管理者や警察にヒアリングを行い,実務での有用性や納得感などについて評価してもらう. また,本手法に基づく歩行者事故危険性評価モデルにより抽出された潜在的な歩行者事故危険地点を可視化するためのWebアプリを構築し,各地点について,道路利用者の主観に基づき注意意識や納得感などについて5段階程度でレーティングできる機能を実装する予定である.そして,対象地区市民から自治会を通して市民を募集し,本アプリにより事故危険地点マップを提示し,アンケートを回答してもらい,注意意識や納得感などについての比較を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
主に以下の2点により次年度使用額が生じた. ①コロナ禍により,2020年度に予定していた国内旅費,外国旅費,業務補助費を使用しなかったため. ②歩行者事故危険地点を可視化し道路利用者に注意意識や納得感をレーティングしてもらうためのWebアプリケーションの構築について,内容について豊橋市と調整が十分にできなかったこと,および他研究所からヒヤリハット収集についての連携を提案されたことから,それらをあわせて2021年度に実施することとしたため.
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