市民参加型のデジタル・プラットフォームを基盤としたスマートシティや学習社会の理論的枠組みとして、プラットフォームの討議的役割を討議民主主義理論における討議システムの観点から取り上げ、そこに求められる規範的要件を検討した。討議システムにおいて、プラットフォームは、権限を与えられた意思決定主体によるミクロな討議圏と市民社会によるマクロな討議圏をつなぐ橋渡し役として位置付けた。その上で、デジタルプラットフォームは、オンラインコミュニケーションの限界から、代表性と議論性に関連する2つの相互に不調和な評価次元を持つ可能性があることを指摘し、オフラインの対面コミュニケーションで補完する必要性を明らかにした。最後に、プラットフォームがミクロ討議とマクロ討議という社会における雑多な審議を統合し、地域学習を促進するための原理として、討議的メタコンセンサスのアイデアを提示した。 併せて、昨年度から検討している地域づくりの人材育成プログラムを引き続き取り上げて、参加者の立場性の変化という観点から本プログラムにおける学習過程を分析し、学習社会の実現に向けた実践的プログラムを提案した。
|