研究課題/領域番号 |
19K04658
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
石川 良文 南山大学, 総合政策学部, 教授 (20329577)
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研究分担者 |
武藤 慎一 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90313907)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 産業連関分析 / SCGEモデル / 地域振興 / 交通政策 / メガリージョン / 整備効果 / 経済効果 / 産業連関表 |
研究実績の概要 |
本研究では、大規模交通インフラ整備によるメガ・リージョンの形成を想定し、その圏域内にある市町村別の影響と各種地域振興政策が分析可能なメガリージョン市町村間産業連関表を作成し、リニア中央新幹線を想定した大規模交通インフラ整備の効果と、地域振興政策の効果を同時に分析するSCGEモデルと産業連関モデルの開発を行うことを目的としている。研究内容としては、大きく①メガリージョン市町村間産業連関表の作成、②人口移動を考慮した市町村レベルSCGEモデルの開発、③地域振興政策効果と大規模交通インフ及び地方接続交通インフラ整備効果のシミュレーションに分かれるが、1年目では、以下の研究を行った。 まず、①市町村間IO表作成では、地域間産業連関表の作成に関する先行研究をレビューし、作成方法の検討を行った。地域産業連関表の作成には、主にサーベイ手法、ノンサーベイ手法、ハイブリッド手法の3つの手法があるが、特にノンサーベイ手法について国内外でのこの分野の研究の発展を捉えた。日本では、一部の県や地域を細分化した圏域間産業連関表や市町村間産業連関表の作成が行われており、海外では欧州や韓国、中国などで研究が行われている。本研究はこれらの先行研究を参考に精度の高い作成手法を検討した。②市町村レベルのSCGEモデルの開発では、作成手法を検討した市町村間産業連関表と整合性の高いSCGEモデルの在り方を検討し、そのモデル化の方向性を検討した。また③地域振興と交通インフラ整備の効果シミュレーションでは、シミュレーションすべき政策案について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の1年目では、市町村間産業連関表の作成手法の検討、SCGEモデルの基本モデルの開発、想定する政策内容の検討を当初の計画としていたが、これらの検討は順調に進んでいる。本研究で作成する市町村間産業連関表は、対象年次を国の産業連関表に合わせて2015年としており、当該年の全国産業連関表は2019年度半ばに作成されたが、リニア沿線の全ての県の産業連関表が作成されてはいない。そのため2011年の産業連関表をベースに検討することで概ね予定通りの進捗となった。SCGEモデルの開発にあたっては、既に分担者が開発しているSCGEモデルをベースとしており、そのモデルの改良を検討できた。 2020年2月からは新型コロナウイルス感染症の問題のため、予定していた研究会を十分に実施できなかったが、研究成果については代表者、分担者間の連絡を密にして次年度の展開を検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1年目は概ね予定通りの研究を行うことができたが、2020年2月からの本格的な新型コロナウイルス感染症の問題のため、研究をスムーズにできないことが考えられる。特に研究分担者とのミーティングを複数回行い、データの作成とそれを用いるモデルの整合性を図る必要があるが、ミーティングが十分に行えない可能性がある。その場合には、オンラインでのミーティングにより意見交換を十分に行う予定である。また、1年目の研究成果を基に国内外で研究成果を発表し、そこでの議論を踏まえた研究を行う必要があるが、学会が開催されない場合が想定される。そのため、ジャーナルへの投稿を前倒しし、査読過程を通じて研究成果のブラッシュアップと次年度の研究の深度化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年1月に新型コロナウイルス感染症の初の感染者が出て2月から新型コロナウイルス感染症の本格的な感染があったため、分担者との研究打ち合わせや3月の学会が開催中止になった。そのため、国内出張、会議費などの経費を次年度に持ち越した。2020年度は2019年度に発表できなかった学会への参加や分担者との密な研究打ち合わせを予定している。
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