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2023 年度 実施状況報告書

市町村間産業連関表の構築と人口減少時代における交通インフラ整備の効果分析

研究課題

研究課題/領域番号 19K04658
研究機関南山大学

研究代表者

石川 良文  南山大学, 総合政策学部, 教授 (20329577)

研究分担者 武藤 慎一  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90313907)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワードSCGEモデル / 地域振興 / 産業連関表 / 地域産業連関モデル / 交通政策 / 中央リニア新幹線 / メガリージョン / 経済効果
研究実績の概要

本研究は、大きく①メガリージョン市町村間産業連関表の作成、②人口移動を考慮した市町村レベルSCGEモデルの開発、③地域振興政策効果と大規模交通インフ及び地方接続交通インフラ整備効果のシミュレーションに分かれる。
本年度では、以下の研究を行った。
まず、①市町村間産業連関表の作成では、前年度までに全国市町村間産業連関表の試算を行ったが、その基となる都道府県産業連関の一部地域でコロナ禍のため公表が遅れていた。このデータは2023年末になっても公表されなかったため、公表が遅れた都道府県のデータを延長推計することによって、前年度作成した市町村間産業連関表の精度を高めた。また、主に経済センサスを用いて作成されている既存の市町村内産業連関表と比較し、本研究で作成している市区町村間産業連関表の精度を確認した。
②市町村レベルのSCGEモデルの開発では、前年度行った山梨県を全市町村に区分したSCGEモデルの開発に引き続き、更に航空・空港市場への影響を考慮した分析など、交通部門の細分化と理論モデルの拡充を行った。また、これらのモデルを基に各種パラメータの推計を行った。
③地域振興と交通インフラ整備の効果シミュレーションでは、主にリニア中央新幹線の岐阜県駅周辺の市町村を対象に観光影響の分析を行った。岐阜県周辺では様々なプロジェクトが進行しているが、2027年開通が断念され不確定要素も多いため、各自治体などの動向を踏まえた観光振興シナリオを設定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題では、市町村間産業連関表の作成をベースとした交通インフラ整備の効果分析を行うことを主眼としている。そのための市町村間産業連関表の作成と交通インフラ整備効果分析のためのSCGEモデルの開発、また経済効果分析は既に一定程度終えている。
しかしながら、本研究課題の根幹を成す市町村間産業連関表を完成させるためには、47都道府県全てから公表された2015年産業連関表が必要であり、コロナ禍において2021年末で3県の産業連関表が公表に至らなかった。2022年度中に2県のデータが公表されたが、残り1県のデータが公表されず、市町村間産業連関表が完成しなかった。この県は2023年度初めに公表されるとのことであったが、2023年末の時点で公表されなかったため、更に研究期間を延長した。
全てのデータが揃わなければ、2015年を対象とした市町村間産業連関表は作成できないため、目標とする2015年対象の市町村間産業連関表の作成作業が遅れている。しかしながら、公表が遅れている1県についても独自に延長推計するなどして、SCGEモデルの開発と交通整備効果の試算はできており、研究全体の進捗としてはやや遅れていると評価した。
新型コロナウイルス感染症の長期化により、2023年度初めの5類への移行まではオンラインなどでを活用し対応したが、その後は対面での研究会を通じて活発な議論ができ、研究分担者と進捗確認を行いながら進めている。

今後の研究の推進方策

2023年度初めにおいても市町村間産業連関表を完成させるのに必要な都道府県の産業連関表が揃わず、研究を完全に終了することができなかったが、2024年初めに全ての都道府県で産業連関表が公表された。そのため、2024年度は公表された都道府県産業連関表ベースにした市町村間産業連関表が作成可能となった。今後は、延長推計していた一部の県のデータを差し替え、バランス調整することにより市町村間産業連関表を完成させる。また、そのデータを用いて既に開発しているSCGEモデルを交通整備効果分析に適用し、これらの成果を学会で発表し論文としてまとめる。

次年度使用額が生じた理由

2015年対象の市町村間産業連関表を作成するためには、全都道府県の2015年産業連関表が必要である。47都道府県中1県のみコロナ禍の影響で公表が遅れており、当初2023年度初めには公表されるとのことだったが、2023年末になっても公表されなかった。そのため当該県のみ延長推計して仮の市町村間産業連関表を完成させたが、2024年初めにようやく公表されることとなった。そこで、当該県の産業連関表を組み込み各種シミュレーションを行う必要がある。次年度は市町村間産業連関表を完成させ、リニア中央新幹線の整備に伴う各種政策シミュレーションを実施する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 航空・空港市場への影響を考慮したリニア中央新幹線整備の計量厚生分析2024

    • 著者名/発表者名
      武藤慎一
    • 雑誌名

      交通学研究

      巻: Vol.67 ページ: pp.37-44

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 市町村間CGEモデルの開発とリニア中央新幹線アクセス交通整備の計量厚生分析2023

    • 著者名/発表者名
      高井彬名,武藤慎一,石川良文
    • 雑誌名

      土木学会論文集D3(土木計画学)

      巻: Vol.78,No.5 ページ: pp. I_129-I_140

    • DOI

      10.2208/jscejipm.78.5_I_129

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 次世代産業創出と地域内道路ネットワーク整備の経済効果計測2023

    • 著者名/発表者名
      大西亮,武藤慎一
    • 雑誌名

      土木計画学研究・講演集

      巻: Vol.67 ページ: -

  • [雑誌論文] 航空市場への影響を考慮したリニア中央新幹線整備の計量厚生分析2023

    • 著者名/発表者名
      高井彬名,武藤慎一,徐芸昊,小宮山茜
    • 雑誌名

      土木計画学研究・講演集

      巻: Vol.67 ページ: -

  • [雑誌論文] 交通生産内生型SCGEモデルとIceberg型SCGEモデルにおける輸送構造の比較分析2023

    • 著者名/発表者名
      徐芸昊,武藤慎一,河野達仁
    • 雑誌名

      土木計画学研究・講演集

      巻: Vol.68 ページ: -

  • [学会発表] 平成27年(2015年) 全国1902市区町村間産業連関表の作成2023

    • 著者名/発表者名
      Nontachai Tithipongtrakul・石川良文・仲条仁
    • 学会等名
      環太平洋産業連関分析学会第34回全国大会
  • [学会発表] 航空市場への影響を考慮した リニア中央新幹線整備の計量厚生分析2023

    • 著者名/発表者名
      高井彬名・武藤慎一・徐芸昊・小宮山茜
    • 学会等名
      土木学会第67回土木計画学発表会・春大会
  • [学会発表] 次世代産業創出と地域内道路ネットワーク整備の経済効果計測2023

    • 著者名/発表者名
      大西亮・武藤慎一
    • 学会等名
      土木学会第67回土木計画学発表会・春大会

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公開日: 2024-12-25  

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