研究実績の概要 |
本研究では、未利用資源である下水、処理水と消化液を利用してウキクサと微細藻類を栽培し、そのバイオマスをバイオガス化することによって、エネルギー生産を最大化した未来型下水処理場をデザインすることを目標としている。 2019年度は、『未利用下水資源を用いたウキクサと微細藻類のバイオマス生産の評価』を目標として、複数のウキクサと微細藻類を対象とし、下水処理場から採取した下水、処理水と消化液を用いて栽培実験を行った。窒素・リンの除去速度とバイオマス生産速度を定量した。この結果、実験に供したウキクサ種(Spirodela polyrhiza, Lemna minor, Lemna gibba, Landoltia punctata)の中でSpirodela polyrhizaが最も高い窒素・リン除去速度とバイオマス生産速度(0.19 kg-dry weight/m3/day)を示した。さらに、そのSpirodelaバイオマスを嫌気性消化することによって、高収量でメタンガス(485 NL-CH4/kg-dried biomass)が生産された。一方、今回の実験に供した微細藻類(Auxenochlorella protothecoides, Chlamydomonas reinhardtii, Chlorella vulgaris, Chlorocuccum sp., Euglena gracilis)の中では、Chlamydomonasが最も高いバイオマス生産速度を示した。以上のことから、未利用下水資源培養でのバイオエネルギー生産性の高いウキクサとしてSpirodelaと微細藻類としてChlamydomonasを選抜した。
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