オゾンや紫外線過酸化水素(UV/H2O2)処理で生成するOHラジカルは、高い酸化力で難分解性の有機物を酸化分解する処理であり、高度水処理手法として、用排水システムにおける健康リスクの低減に効果を上げてきた。だが、無差別/非選択的な反応に起因する、新たな課題が散見されている。そこで本研究では、OHラジカルと比較して反応に選択性がある硫酸ラジカルを利用し、水処理に用いた際の反応の選択性を明らかにし、新たな水質管理手法を構築することを目的とする。 本研究では、フミン酸を用い、過硫酸塩または過酸化水素を添加した形で紫外線照射を行うことで、難分解性有機物に対する硫酸ラジカル処理の効果を明らかにすることを試みた。過酸化水素と比較して、過硫酸塩は同じ紫外線照射量でより高い減少率と効率を示した。フミン酸、アミノ酸、またその他各種染料を対象として実験を行い、過酸化水素と過硫酸塩で処理した場合を比較した。その結果、UV254吸光度とNPOCの減少傾向には違いが見られ、吸光度については、初期段階でNPOCよりも減少率が大きかった。 過硫酸塩は、過酸化水素と比較した結合解離エネルギーの違いによって、ラジカル濃度が高くなり、分解率が高くなるものと考えられた。UV254吸光度とNPOCの異なる減少傾向を考慮すると、芳香族部分が初期段階でフミン酸と反応し、より低分子の分解生成物を形成すると考えられる。次いでこれらの分解生成物が分解することで、NPOCの低下につながると考えられた。
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