研究課題
下水処理場における消毒は、薬剤耐性菌を含めた病原微生物による感染リスクを低減するために最も重要なステップである一方で、塩素やUVによって消毒された処理水中にもARBおよびARGsが残存していることから、水環境における薬剤耐性(AMR)の主要な排出源の一つだといわれている。我々は、PEF印加消毒を応用してARBおよびARGsの不活化も可能とする消毒技術の確立を目指し、本研究では、PEF印加消毒によるARBおよびARGsの不活化効果、およびそれらの削減率と電気的パラメータを含めた処理条件との関連性を明らかにすることを目的とした。PEF印加消毒は、VREだけでなくvanA遺伝子(バンコマイシン耐性遺伝子)も不活化できることが明らかとなった。培養可能なVREは効果的に消毒することができ、200 Hz、10 kV、8分、および400 Hz、10kV、4分の印加条件では、検出下限値以下まで削減された(LRVVRE>5.0)。一方で、vanA遺伝子も4log以上の削減率を示したけれども、依然として処理水中には105 copies/mLオーダーで残存したことから、PEF印加消毒においてARGsはARBよりも不活化されにくいことが示唆された。本研究で検証した各処理条件(初期電圧値、周波数、印加時間)の中で初期電圧値が最も重要なパラメータであることが明らかとなった。また、周波数は、処理時間の増減に影響を与えるパラメータであり、不活化が認められる電圧条件であれば、周波数を大きくすることで処理を短時間化できる可能性がある。ARGsの不活化効果については、印加条件の検討の余地があるけれども、PEF印加消毒は、水環境におけるAMRによる汚染の抑制に資する、下水処理場の新たな消毒技術のオプションとなる可能性が強く示唆された。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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