研究課題
基盤研究(C)
本研究では下水汚泥の脱水と発電を同時に行う堆積物燃料電池において観察された不快害虫であるチョウバエの発生が抑制される現象の解明を試みた。その機構として下水汚泥に含まれる鉄等の金属が発電条件下で遊離してチョウバエの卵が孵化する段階を抑制することにより起きていることが浮き彫りとなった。一方、導電性が低い場所にチョウバエが産卵できる環境では、発電条件下でもチョウバエの発生が抑制されないことが明らかとなった。
環境生態工学
堆積物微生物燃料電池をチョウバエのような害虫の抑制に活用した事例はなく、ミリボルトレベルの微弱な電気で害虫を抑制する手法の報告例も見当たらない。本研究成果は、微生物燃料電池の応用性を広げ、薬剤に頼らない新しい害虫抑制手法の可能性を提案するものであり、下水汚泥に限らず有機物と金属を含有する様々な環境において薬剤を使用せずに害虫を抑制する可能性を明らかにした点に意義がある。