| 研究課題/領域番号 |
19K04673
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| 研究機関 | 新潟薬科大学 |
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研究代表者 |
井口 晃徳 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (60599786)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 未培養微生物 / 嫌気性廃水処理 / 化学物質分解 |
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| 研究実績の概要 |
微生物学的アプローチからの嫌気性廃水処理プロセスの最適化を目的に、嫌気性廃水処理リアクター内で機能上重要と推定される未培養微生物の分離培養および機能解析を行った。今年度は、前年度において獲得した有害化学物質である水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を分解するメタン古細菌の生理学的性質調査、実際の廃水処理を行うメタン発酵槽内のグラニュール汚泥内における当該微生物の空間分布の把握を行うことでin situでの機能を試みた。16S rRNA遺伝子に基づく分子系統解析の結果、分離株はMethanomethylovorans属に分類されることが明らかとなり、この属における既知種との相同性は非常に高いものであった。既知のMethanomethylovorans属3株のTMAH分解能を調査した結果、既知種はすべてTMAH分解能を有しておらず、TMAHの分解は本分離株だけに特有のものであることが示された。TMAH以外のメチルアミン化合物資化性を調査した結果、トリメチルアミン、ジメチルアミン、モノメチルアミンなども分解可能であることが示され、これらは既存種と同じ性質であった。他にもpH条件や塩分耐性、界面活性剤 (SDS) 耐性等の生理学的性質も調査を行い、これらの性質も既知種とほぼ同じであることがわかった。分離株に特異的なDNAプローブを利用した蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法をTMAH分解リアクターのグラニュール汚泥に適用した結果、グラニュールの表面を覆うように当該微生物が局在している様子が観察されたこと、バクテリアとの明確な位置関係に差異があったことから、共生系による分解ではなく、廃水中のTMAHを直接的に分解していることが予測された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により大学構内への入構が制限される形となり、一部の分離株の生理学的性質等の解析は進んではいるものの、当初計画していたゲノム解析や、他の分離株の解析まで進めることができなかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
当初計画していた分離株のゲノム解析の実施を検討する。特にTMAH分解古細菌については、既知種とは非常に近縁な位置に分類されるにも関わらず、分離株のみにTMAH分解能があることから、どのようなメカニズムで分離株が当該化学物質の分解を遂行しているのかを遺伝学的なアプローチから明らかにできればと考えている。また、嫌気性廃水処理プロセスに生息する機能上重要な新たな微生物の分離培養も引き続き行っていく。具体的には、2-propanol (IPA) やモノエタノールアミン (MEA) をメタン発酵プロセス内で嫌気的に分解可能な微生物の分離培養を行い、それらの生理学的・遺伝学的な性質の解明を試みる。必要に応じて目的化学物質の中間代謝物等を資化する分離も並行して行うことを検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当該年度において、県外研究機関との研究打ち合わせおよび学会発表が新型コロナウイルス感染拡大防止の措置を受けてオンライン開催となり、それらの出張のための旅費が残る形となった。また併せて大学構内への入構禁止措置のため、研究を遂行する教員、学部生、大学院生の研究遂行が当初の予定どおりにならず、結果的に実験に使用する消耗品費が余った形となった。いくつかの研究項目において研究遂行できない部分が生じたため、今後の新型コロナ感染拡大対応の程度にはよるが、次年度は今年度の遅れを取り戻して研究を遂行していくこととする。
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