研究実績の概要 |
本研究では、めっき廃液からニッケル等の有用金属の回収を行うため、以下の検討を行っている。(1)細菌由来の新規キレート物質の精製と構造決定、(2)生合成遺伝子の解析と大量生産法の開発、(3)固定化担体の作製 これまでに、比較的高濃度のニッケルイオンを含む培地で生育可能な細菌として単離したDelftia sp. No.10株が生産するキレート物質(メタロフォア)の精製を行い、精製したメタロフォアを用いて、固相抽出と組み合わせた簡便な方法により、水溶液中のニッケルイオンを回収できることを確認した。このメタロフォアの構造解析を行うため、培養液からの抽出・精製を繰り返し行っている。 一方で、比較的高濃度の亜鉛イオンを含む培地で単離したBurkholderia sp. 3Y株についても同様に、メタロフォアの精製とLC/MSによる分子量推定、および金属指示薬を用いたキレート作用の検討を行った。その結果、3Y株は分子量の異なる複数のキノロン系の化合物を生産すること(推定分子量761, 789, 881)、また、これらは亜鉛イオンと結合することが示唆された。 メタロフォア生合成遺伝子に関しては、Delftia acidovoransで既に報告されているdelG(*注1)の塩基配列情報を参考にプライマーを設計し、Delftia No.10株のDNAを鋳型としてPCRを行った。得られたDNA断片について、現在、塩基配列の解析を行っている。 (*注1: C W Johnston et al., Nature Chem Biol, 9, 241-243, 2013)
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