大地震時における木造住宅の最大の層間変形角は1/30rad程度であるが、このとき、内外装材が躯体に追従し、脱落しないかどうかは十分検証されていない。外装材が脱落した場合は、通行人などに人的な被害が生じ、また、地震後の火災が短時間で延焼する可能性が高くなる。内装材についても、脱落した場合には、人的な被害や避難経路を閉ざしてしまう懸念もある。木造住宅における内外装材は種類が多く、その躯体への留め付け方法は多種多様であり、分類や整理はなされていない。また、木造住宅における内外装材は、構造躯体に緊結されるため、緊結に使われる釘や木ねじ、ステープルといった接合具には高い変形能力が要求されていることになるが、そのことは、一般には認識されておらず、実験的な検証もあまり行われていない。本研究では、小規模な木造住宅を対象として、こうした内外装材の大地震時の脱落の有無を検証する手法(層間変位追従性能の検証法)を開発することを目的とする。2021年度に実施した内容は以下のとおりである。 [ 1 ] 内外装材を対象とした層間変位追従性能の検証方法の提案 設計での利用を想定して、内外装材の層間変位追従性能の検証方法を検討し、提案した。これは、躯体に1/30radの変形が生じた時、慣性力によって内外装材が脱落するか否かを判定するものである。 [ 2 ] 提案法を用いた新しい内外装構法の開発 ラスモルタル層のスウェイが可能な支持金物を開発した。これは、短冊状の金物で下部が面外に突出しているものである。構造金物用ビスで金物の上端を柱に留め付け、突出部をラスモルタル層に塗り込める。軸組のせん断変形時に金物がビスを中心に回転し、ラスモルタル層が損傷せず軸組に追従することをせん断加力実験で確認した。
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