研究課題/領域番号 |
19K04689
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
浅田 勇人 芝浦工業大学, 建築学部, 准教授 (70620798)
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研究分担者 |
吉敷 祥一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (00447525)
田中 剛 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90243328)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 鋼構造建築物 / 梁端接合部 / 耐力 / 塑性変形能力 / 設計法 |
研究実績の概要 |
制振架構や剛床仮定が成立しないような建築物では,梁に曲げモーメントだけでなく,軸力が同時に作用することになる.本研究ではこのような建築物の梁端接合部を対象とし,梁軸力が梁端接合部の耐力および塑性変形能力に与える影響を実験的・解析的に検討した.2022年度は,我が国の典型的な柱梁接合ディテールを採用した角形鋼管柱とH形断面からなる部分架構試験体を製作し,梁に一定引張軸力を作用させた繰り返し載荷実験を行った.載荷実験の結果から,柱の鋼管厚が薄くなると,軸力による耐力および破断で決定される塑性変形能力の低下が顕著となることを確認した.一方で,柱の鋼管厚を厚くし,梁端接合部の面外曲げ耐力および剛性を十分に確保した場合では,軸力による性能の低下はほとんどみられなかった。以上の実験結果を詳細に分析するため,数値解析を併せて実施した.解析結果より,破壊起点位置の歪集中の程度は,同一の軸力が作用した場合であっても柱の鋼管厚の違いによって顕著な違いがみられ,実験結果と整合する結果が得られた. 以上の結果を踏まえて,軸力を考慮した梁端接合部の設計法の枠組を整えるために,梁に作用する軸力の大部分を伝達しなければならない梁ウェブ接合部の耐力と破壊起点位置の歪集中の関係を検討した.検討結果から,作用する軸力の大きさが梁ウェブ接合部の全塑性軸方向耐力以下にとどまる場合には,軸力によって破壊起点位置での歪集中が顕著に増大することはなく,軸力による塑性変形能力の顕著な低下も生じないことを明らかにした.
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