研究実績の概要 |
再乳化形粉末樹脂を混和したモルタル(Polymer Cement Mortar, PCM)のフレッシュ性状(フロー値や空気量)並びに圧縮および曲げ強度に関して,水セメント比(W/C)が30, 35, 40%の場合において,細骨材容積率(Vs=18.8, 28.8, 38.8, 48.8%),消泡剤添加率(DA=0.1, 0.4%),ポリマーの種類(ポリアクリルエステル(PAE)およびポリ酢酸ビニルバーサテート(VVA))やポリマーセメント比(P/C=5, 10%)の影響を明らかにするとともに,ポリマーを混和していない基準モルタル(Cement Mortar, CM)の実験結果に基づいて強度の推定式を構築することを試みた。また,加熱改質フライアッシュ(Modified Fly Ash, MFA)を混和したPCMの実験を実施した。得られた結果は下記のとおりである。 (1)PCMに消泡剤を添加することで圧縮および曲げ強度は改善される。また消泡剤添加率0.1%と0.4%では,その効果はほぼ頭打ちの傾向にある。 (2)P/Cの影響について,空気量を同一の場合P/Cの増加に伴い,曲げ強度は同等あるいは若干向上し,圧縮強度は低下する傾向にある。 (3)PCMの圧縮強度は,セメント水比(C/W),Vsおよび材齢を要因とした基準モルタルの推定式にポリマー種類ごとのP/Cの関数を乗じた式によって推定できる。 (4)PCMの曲げ強度は,CMの圧縮強度推定値と曲げ強度の関係式にポリマー種類ごとのP/Cの関数を乗じた式によっておおよそ推定できる。 (5)本研究課題の最終目的は,MFAを混和したPCMについて,補修材料としての要求性能に応じて材料設計が可能になるように、強度や耐久性に関して予測式を構築することである。現状,実験はほぼ終了しており,今後も引き続きデータの解析を行う予定である。
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