研究課題/領域番号 |
19K04693
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊藤 是清 東海大学, 基盤工学部, 教授 (50380663)
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研究分担者 |
小山 智幸 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50215430)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フライアッシュ / 石炭灰 / コンクリート / 混和材 |
研究実績の概要 |
本年度は,これまでに入手したフライアッシュを用い,フライアッシュのスラリー化によるコンクリートの流動性向上効果に及ぼすフライアッシュ中の未燃カーボンの影響を中心とした以下の検討を行った。 1.スラリー化による流動性向上効果に関する検討 スラリー化によるコンクリートの流動性向上効果を有するフライアッシュを選定するために,未燃カーボンを比較的多く含むフライアッシュを対象とした検討を行った。フライアッシュのスラリー化は,フライアッシュ濃度を65~75%としたものをミキサで撹拌して行い,水結合材比を30%としたセメントペースト(水,セメント,フライアッシュスラリー,化学混和剤を混合)のペーストフローを測定した。その結果,強熱減量が約5%と約9%のフライアッシュをスラリー化処理した場合,未処理のものを使用した場合よりもペーストフローが向上することを確認し,今後の種々の分析を行うえでの標準となる試料を選定できた。 2.スラリー化に伴うフライアッシュスラリーからの脱水量の変化に関する検討 本研究では,フライアッシュを高濃度で撹拌することで,多孔質の未燃カーボンの破砕などによる物理的な変化により,未燃カーボンの吸水性状が変化し,流動性が向上するという仮説を立てている。この検証のため,スラリー化を行ったフライアッシュと未処理のフライアッシュを所定の濃度に調整し,スラリーから遠心分離器で分離した水量を脱水量として測定した。その結果,スラリー化を行ったものでは,未処理のものと比較して脱水量および脱水速度が大きくなっており,上記の仮説を裏付けるうえでの有益な結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では主に外部機関の装置を利用した分析を行うように計画しているが,コロナウイルス感染症の影響による種々の制限がある環境下において,予定していた実験・検討を十分に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究発表に至るまでの十分な実験ができなかったが,スラリー化によるコンクリートの流動性向上効果を有するフライアッシュを選定でき,またスラリー化によりスラリーの脱水性状が変化することを見い出した。次年度は,さらに多くのフライアッシュでこれらの実験結果を検証し,また電子顕微鏡による未燃カーボンの形状観察等の分析を追加して流動性向上効果に及ぼす未燃カーボンの影響を明確にしたうえで,成果発表を行う予定である。また同時に,その他の仮説の検証に関する実験を実施する。なお,外部機関の装置を利用した分析については,共同研究者とも調整のうえ,状況に応じて見直しを行うように考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)消耗品費,旅費(学会等),分析費,人件費の支出の一部が,コロナ感染症拡大の影響により計画通りに進まなかったため。
(使用計画)次年度に,本年度の当初計画で実行できなかった実験の費用として使用し,計画通りに進まなかった場合は,延長申請を行い,延長期間の年度における研究費として使用する予定である。
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