研究課題/領域番号 |
19K04703
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
脇山 善夫 国土技術政策総合研究所, 住宅研究部, 室長 (50339800)
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研究分担者 |
清水 斉 広島工業大学, 工学部, 教授 (30709118)
渡壁 守正 広島工業大学, 環境学部, 教授 (40744743)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 低層鉄骨造 / 大判ガラス / 地震被害 / 常時微動測定 / 強制加振実験 / 強震観測 |
研究実績の概要 |
検討対象である大判ガラスに被害を生じた低層鉄骨造建築物について、昨年度に引き続いて、強震観測および作成した解析モデルの改善等を継続して実施した。 強震観測については、観測機器を設置して計測を開始した2019年11月以降、検討対象建物での振幅レベルが小さいものも含めて16の地震について強震記録を得ている。得られた中で最も大きなものは2021年2月13日23時8分頃の福島県沖の地震の際に記録されたものであり、水平X方向について、1階床レベルにおいて430gal、2階天井裏の躯体レベルにおいて1,099galの加速度をそれぞれ記録しており、東日本大震災の際に大判ガラスに被害を生じたコーナー部の近傍において揺れが大きくなっているのを確認している。また、一連の観測記録には小振幅レベルのものから大振幅レベルのものまで含んでおり、それらの記録を用いて入力レベルに対する固有振動数の振幅依存性について検討している。 解析モデルについては、モデルの改善を進めるとともに、東日本大震災の際に全国強震観測網の観測施設で対象建物に最も近い施設で記録された強震観測記録や対象建物で実施している強震観測記録を入力とした解析を実施した。一連の解析検討により、建物におけるねじれの影響について検討するとともに、東日本大震災で記録された強震観測記録の入力によって当該コーナー部に配置された大判ガラスにおいてガラスが損傷するレベルの応答が生じる可能性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大判ガラスに被害を生じた低層鉄骨造建築物について昨年度に引き続いて強震観測を実施して年度末までの研究期間に16の地震記録を得ており、対象建築物の振動特性について検討するとともに、解析モデルの改良および強震観測記録を用いた解析を実施した。一連の検討では、対象建物で震度6弱に相当する地震による強震観測記録を得るとともに、強震観測記録及びモデル解析から、対象建物で以前に地震被害を生じた箇所の近傍で揺れが大きくなることを確認するとともに、モデル解析によって大判ガラスに被害を生じる応答の発生について検討を行っていることから、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討では、実際に大判ガラスの地震被害を生じた建築物を対象に、強震観測等及びモデル解析等によって対象建築物の振動特性の把握を進めてきて、震度6弱程度までの地震による建物の応答について確認するとともに、モデル解析により大判ガラスの損傷の可能性について検討した。最終年度は被害発生プロセスについて更に検討するとともに耐震安全性確保のための設計上の配慮事項について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、新型コロナ感染拡大防止の影響等により旅費を要する打合せ等が中止になったこと等により次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額については、当初の計画通りに研究を進める上で必要となる直接経費(物品費、旅費、人件費・謝金)として使用する予定である。
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