研究課題/領域番号 |
19K04708
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
河邊 伸二 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20252314)
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研究分担者 |
伊藤 洋介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00757338)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドローン / 電磁環境 / 定在波 / 軽量型スペクトラムアナライザ / 反射波 |
研究実績の概要 |
建築分野でドローンを安全に利用・活用するにおいて、都市部での電波環境を把握することは極めて重要である。特に、複数の建築物の壁面で電波が多重反射してドローンの操縦が不可能になる現象は緊急に解決する課題である。 本年度は、1)空間の電波環境を測定できるドローンの開発と、2)ドローンの操縦に影響を及ぼす可能性がある電波の1つとして、ドローンの送信機から発信される操縦電波と建築壁面による操縦電波の反射波の合成波である定在波の測定を行うことを目的とした。 1)2450MHz用受信アンテナをドローンに搭載するためには、軽量化・小型化、指向性、精度の検討が不可欠である。軽量型スペクトラムアナライザ、小型バイコニカルアンテナ、スティックPC、モバイルバッテリーをドローンに搭載した。これらの総重量は約680gであった。ドローンを実際に飛行させた。 2)ドローンに受信アンテナと軽量型スペクトラムアナライザを取り付けた。送信機のアンテナを鉛直とし、金属板と送信機のアンテナの距離を2000mmで固定し、送信機から操縦電波を発信した。金属板と受信アンテナの距離を2mmずつ移動し、電界強度の測定を行い。定在波を求めた。 周波数2.45GHzと2.44975、2.45025GHzの3つの電界強度を平均した値と、金属板からの受信アンテナの距離の関係を見出した。極大値は周波数2.45GHzの電波の半波長に近い60mmごとに現れた。シグナルジェネレータを用いた電界強度の測定と同様、金属板に近いほど定在波の電界強度は極大値、極小値共に小さくなった。また、金属板からの距離が1100mm以下のとき、1320mm以上に比べて波形は大きくなり、定在波の極大値と極小値の比は大きくなった。以上より、ドローンが建築壁面に近づくほど、反射波は大きくなり、反射波がドローンの操縦に影響する可能性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、建築電波環境の測定のためのドローンの開発と測定精度の向上を図ることにあった。軽量型スペクトラムアナライザ、小型バイコニカルアンテナ、スティックPC、モバイルバッテリー、ケーブルをドローンに搭載して、ドローンを実際に飛行させ、空間の電波を測定できることを確認した。 ①2450MHz用受信アンテナの設計を見直すため、今回、小型バイコニカルアンテナを作製し、ドローン搭載時の電波の測定を容易化した。 ②2450MHz用受信アンテナによる測定精度を向上する。受信アンテナの向きを制御するジンバルにより、指向性を向上させる必要があったが、ドローン全体の軽量化のため、今回はジンバルを搭載せず、ドローンの向きで指向を図った。高周波用のケーブルを改良し、短いケーブルで利得の向上とノイズの低減を図った。 ③今回は、オリジナルの二輪型ドローンを使用せず、汎用のドローンを用いて測定を行った。定在波など基礎データの収集を行った。
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今後の研究の推進方策 |
開発した二輪型ドローンとアンテナによって、建築電波環境を測定する。 1)オリジナルの二輪型ドローンを使用することにより、建築物の壁面の近傍の電波環境を測定し、電波のマルチパスによる、建築物の壁面の反射を測定する。 2)建築物壁面による遮蔽や、操縦者近傍の地面による電波の反射の影響を検討するためフレネルゾーンを測定する。 3)ドローンに2450MHz用受信アンテナを搭載し、建築物の高さ方向に壁面に沿って上昇させ、ハイトパターンを測定する。 4)ドローンと同一の周波数帯の他機器利用による電波を測定して、混信によるジャミング性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験結果とデータを精査する時間を要し、次の実験計画の再調整をしたためである。 実空間でドローンを飛行させる実験に使用する計画である。
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