研究課題/領域番号 |
19K04712
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山口 謙太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (10274490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コンクリートブロック / ブロック塀 / 乾式工法 / プレストレス / 耐震設計 / つなぎ梁 / 振動台実験 / 固有周期 |
研究実績の概要 |
本研究ではレジリエントで計画の自由度が高い乾式ブロック塀の開発を行うために、交付申請書の「研究の概要」に示した(a)~(d)の4項目に関する検討を行っている。令和3年度はそのうち以下に示す内容の検討を行い、研究成果を得た。 (a) 従来のブロック塀で構築可能な形状を乾式ブロック塀で実現する場合の仕様と性能:前年度に実施した建築基準法で定める仕様に従って構築した従来のブロック塀と、同様の形状に構築した乾式ブロック塀に関する面外方向の振動台実験結果のうち、従来のブロック塀試験体の動的な挙動(入力と応答の関係、固有周期の変化、補強筋降伏時の入力加速度、降伏後の変形挙動、減衰の変化など)と、使用した材料の力学特性から予測される挙動の比較を行った。検討の結果、項目(c)では乾式ブロック塀のみについて行う計画としていた静的・動的解析を湿式ブロック塀についても行える目途が付いた。両者の比較は項目(d)で乾式ブロック塀の設計・施工指針を作成する際にも有用である。 (b) 従来のブロック塀で構築不可能な形状を乾式ブロック塀で実現する場合の仕様と性能:前年度までの検討で行った乾式ブロック塀の設計は、既往の研究で得られた乾式ブロック壁と梁の面内および面外曲げに対する骨格曲線を利用して行ったが、今年度は項目(c)で行う静的・動的解析の精度を高めるために、振動台実験に先立って、曲げ変形が卓越する乾式ブロック壁の静的面内水平載荷実験と、乾式ブロック壁と梁で構築した柵状のブロック塀の静的水平載荷実験を行い、これらの静的な力学特性を確認した。 (c) (a)と(b)で検討した乾式ブロック塀をモデル化した静的・動的解析と設計方法の検討:(b)で新たに得られた乾式ブロック壁や柵状の塀の静的載荷に対する挙動を静的荷重増分解析の結果と比較するとともに、(b)の振動台実験の結果予測に反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本国内における新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、令和3年度に予定していた乾式ブロック塀の振動台実験の実施を令和4年度に延期せざるを得なくなった。 研究代表者が所属する九州大学で行われた新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための行動制限に従い、本研究で利用する振動台が設置されている建築構造実験棟においても令和3年度の一時期、利用を見合わせる措置が取られた。措置の解除後に、他の実験研究を行う利用者と利用時期の調整を行った結果、本研究では研究成果を更に充実させるために、研究実績の概要の(b)に記述した乾式ブロック壁や柵状の塀の静的載荷実験を先行して行い、振動台実験は令和4年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年4月現在も新型コロナウイルスの蔓延は収まっていないが、本研究ではその状況に柔軟に対応しながら、感染防止の対策を十分に行いつつ、当初令和2年度に予定していた(b)の振動台実験を令和4年度に実施するとともに、令和3年度の検討で成果が更に充実した研究項目(c)「(a)と(b)で検討した乾式ブロック塀をモデル化した静的・動的解析と設計方法の検討」を引き続き行い、研究項目(d)「(a)~(c)の検討結果を踏まえた乾式ブロック塀の設計・施工指針の作成」に活かしながら、当初の研究目的が達成できるように今後の研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本国内における新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、令和3年度に予定していた乾式ブロック塀の振動台実験の実施を令和4年度に延期せざるを得なくなった。 研究代表者が所属する九州大学で行われた新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための行動制限に従い、本研究で利用する振動台が設置されている建築構造実験棟においても令和3年度の一時期、利用を見合わせる措置が取られた。措置の解除後に、他の実験研究を行う利用者と利用時期の調整を行った結果、本研究では研究実績の概要の(b)に記述した乾式ブロック壁や柵状の塀の静的載荷実験を先行して行い、振動台実験は令和4年度に実施することとした。 次年度使用額はこの振動台実験と、これまで継続的に行っている「乾式ブロック塀をモデル化した静的・動的解析と設計方法の検討」、並びに本研究のまとめとなる「乾式ブロック塀の設計・施工指針の作成」に使用する予定である。
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