本研究ではレジリエントで計画の自由度が高い乾式ブロック塀の開発を行うために、交付申請書の「研究の概要」に示した(a)~(d)の4項目に関する検討を行った。令和4年度はそのうち以下に示す内容の検討を行い、研究成果を得た。 (a) 従来のブロック塀で構築可能な形状を乾式ブロック塀で実現する場合の仕様と性能:令和2年度に実施した従来のブロック塀と、同様の形状に構築した乾式ブロック塀に関する面外振動実験に加えて、乾式ブロック塀をコンクリート基礎上に施工した場合の面外振動実験を行い、その動的な挙動(入力と応答の関係、固有周期の変化、鉛直補強ボルトのひずみの変化、減衰の変化など)を調べて、これまでに行ったブロック塀の面外振動実験結果と比較する共に、使用した材料の力学特性から予測される挙動との比較を行った。検討の結果、振動台加振によって生じる基礎の回転の影響などを把握でき、項目(d)で乾式ブロック塀の設計・施工指針を作成するための有用なデータが得られた。 (b) 従来のブロック塀で構築不可能な形状を乾式ブロック塀で実現する場合の仕様と性能:前年度に静的水平載荷実験を行った、乾式ブロック壁と梁で構築した柵状のブロック塀の面外振動実験を行い、その動的な挙動(入力と応答の関係、固有周期の変化、鉛直補強ボルトのひずみの変化、減衰の変化など)を調べた。 (c) (a)と(b)で検討した乾式ブロック塀をモデル化した静的・動的解析と設計方法の検討:前年度に行った、乾式ブロック壁と梁で構築した柵状のブロック塀の面外振動実験の結果予測と、今年度(b)で行った面外振動実験の結果を比較することで、乾式ブロック塀の設計指針を作成するための有用なデータが得られた。 (d) (a)~(c)の検討結果を踏まえた乾式ブロック塀の設計・施工指針の作成:これまでの研究成果を踏まえ、乾式ブロック塀の設計・施工指針案をまとめた。
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