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2020 年度 実施状況報告書

北海道における雪下ろしによる事故ゼロを目指した雪庇推定手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K04716
研究機関北海道科学大学

研究代表者

千葉 隆弘  北海道科学大学, 工学部, 教授 (40423983)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード雪庇 / 陸屋根建築物 / 風速 / 吹雪風洞実験 / 屋外観測
研究実績の概要

2020年度は,陸屋根建築物における雪庇の形成メカニズム解明に関して,吹雪風洞実験により軒先における雪粒子のベクトルの測定した。実験風速は,2.5m/s,3.0m/s,3.5m/s,4.0m/s,4.5m/s,5.0m/sとし,ハイスピードカメラを用いて撮影した1秒間の映像から雪粒子のベクトルをPIV/PTV解析した。その結果,軒先における雪粒子の速度は実験風速に比べて約1.3倍となり,実験風速3.5m/s以上になると地吹雪が発生していた。この地吹雪が軒先を通過して吹きだまりにならないと仮定すると,実験風速3.0m/s以下において,鉛直方向における雪粒子の空間濃度が多くなり,軒先に吹きだまりが発生し,雪庇へと発達することが明らかとなった。
また,北海道科学大学の2階建ておよび3階建て陸屋根建築物を対象に,屋上の風向風速測定および写真測量を行った。その結果,屋上が曝されていて風速が4.0m/s以上になると屋根雪が吹き払われ,雪庇が形成されなかった。これに対し,両側に3階建て陸屋根建築物が存在する2階建て陸屋根建築物においては,風速が小さくなる軒先が存在し,その風速が4.0m/s未満になる軒先で雪庇が形成されることが明らかとなった。
以上に示すように,陸屋根建築物における軒先に形成される雪庇には風速依存性がみあれ,風速がそれほど大きくなく吹き払いが卓越しない吹雪が発生した場合に雪庇が形成されることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度および2020年度に実施した自然雪を用いた吹雪風洞実験により,試験体軒先に雪庇を形成させることに成功するとともに,形成された雪庇には風速依存性が有しており,屋外観測によりその風速依存性を裏付けることができた。

今後の研究の推進方策

2021年度は,風速依存性を有する雪庇の形成メカニズムを数値シミュレーションで再現するための手法について検討を進める予定である。また,雪庇が形成されやすい地域を気象データに基づいて検討し,屋根雪に起因する人身事故との因果関係を分析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は,計画していた学会発表の全てがオンライン開催若しくは誌上開催となったため,旅費の執行がなくなった。2021年度に,数値シミュレーションに要する費用および屋外観測に使用する観測機器に要する費用に充てる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 陸屋根建築物における雪庇形成時の風速特性に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      千葉隆弘,イセンコ・エフゲニー,西田浩平,齋藤佳彦,大槻政哉
    • 雑誌名

      北海道科学大学研究紀要

      巻: 48 ページ: 73-80

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] パラペット高さによる陸屋根建築物の雪庇対策~古平町新庁舎を対象とした気象データおよび吹雪風洞実験に基づく雪庇対策の検討~2020

    • 著者名/発表者名
      杉野宏樹,高橋章夫,千葉隆弘
    • 学会等名
      日本建築学会大会(関東)

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公開日: 2021-12-27  

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