研究課題/領域番号 |
19K04720
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
西村 勝尚 摂南大学, 理工学部, 教授 (90826207)
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研究分担者 |
向出 静司 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20423204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 回転摩擦溶接接合耐力 / フランジ水平ハンチ梁 / 継手 |
研究実績の概要 |
回転摩擦溶接接合による鉄骨部材接合部の耐力を把握するため,鋼板(母材と2枚の添板)によるプラグ径,プラグ形状,押付け力をパラメータとし二面せん断接合部試験体を回転摩擦溶接により製作し,引張試験及びプラグ接合部の切断試験を実施し以下の知見を得た. ・円柱形プラグにおいて底面に面取りを設けると接合鋼板(添板)に溶鋼が充填されず一体化を図ることが困難である.プラグおよび添板孔にテーパーを設けることによりプラグ底面と母材およびプラグと添板孔側面との一体化を図ることが可能である. ・プラグに溶鋼噴出し防止鋼板を設けると噴出した溶鋼がバリとなり防止鋼板を接着し,回転停止後のプラグ冷却によりプラグの収縮を拘束しプラグ中央部に収縮割れが生じた.そのため,吹き出し防止を施さない方法により収縮割れが生じないことを確認する必要がある. ・接合部破断メカニズムは,摩擦により発生する溶鋼が冷却効果により強度が増加しその部分では破断せず,溶鋼と母材界面での母材引張せん断破断であった.このことより,接合耐力は(0.45~0.5)×(プラグ底面積)×(母材引張強さ)により推定可能である. 回転摩擦溶接接合による梁部材実験の参考とするため,実大スケールでの継手を設けた梁部材モデルによる材料非線形,幾何非線形を考慮したFEM解析を実施した.その結果,梁端部のフランジを水平ハンチとし継手を設けた場合,継手の梁中央側が塑性ヒンジ発生位置となり,変形性能は塑性ヒンジ位置の局部座屈により決定する.水平ハンチを設けないストレート梁に継手を設けた場合はダイアフラムとの溶接接合部が塑性ヒンジ位置となり歪集中が生じ変形性能が低下する.以上より,回転摩擦溶接接合を梁部材継手と用いることにより短い梁端部水平ハンチ梁とすることが可能となり,接合部ではなく部材に塑性ヒンジを設けることができ大きな変形性能を得ることができることを検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により大学入校禁止,外出制限および試験体製作日数の増加等により,予定していた接合部耐力を目的とした複数本設けたケース,部材が先行降伏するケースの基本性能試験が実施できなかった.回転摩擦溶接接合による継手を設けた梁部材の性能を把握するための試験に際し接合部試験結果を基に部材試験体を設計・製作する必要があるため,梁部材性能把握実験は今年度実施予定である.
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今後の研究の推進方策 |
プラグを加力方向に複数本を設けた試験体,母材が先行降伏する試験体の引張試験,切断試験を今年度前半に実施し,梁端部のフランジに水平ハンチを設けた継手を有する梁部材試験体による繰返し載荷試験は後半に実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の中,回転摩擦溶接接合による引張耐力を把握するための基本実験であるプラグを複数本設けた場合,母材が先行降伏する場合の単調載荷試験が実施できなかったため,継手を設けたH形鋼梁による部材試験体の繰返し載荷試験が出来なかったことにより次年度使用額が発生した. 2020年度予定していた前述した接合耐力および接合部応力伝達を把握するための単調載荷試験は2021年度前半およびH形鋼梁試験体による部材試験を2021年度後半に実施する予定である.(直接経費次年度請求100,000+繰越金2,215,874)
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