回転摩擦溶接接合は,テーパー加工されたプラグ(円柱状鋼材)を添板孔に挿入し,プラグと鋼板との摩擦溶接により孔を充填することにより一体化を図る工法である.この接合法の性能を確認するため以下の実験を実施し,知見を得た. 【単体試験体による引張実験】回転摩擦溶接接合の接合耐力および添板とプラグとの一体化に及ぼす因子の影響を明確にする目的でプラグ1列の2面せん断試験体による単調載荷引張試験を実施した.さらに,プラグを複数本設けた場合の応力伝達および母材が先行降伏し変形性能を確保するための条件を得る目的で,加力方向にプラグを複数本設けた2面せん断試験体による単調載荷引張試験を実施した.その結果,以下の知見が得られた. ・押付け力を50MPa以上であれば有効係数は0.5程度以上確保できる.・押付け力を60MPa 以上かつプラグ底面径と添板孔径が同一のものを使用した試験体は,添板孔側面とプラグ側面との一体化が図れた.・複数本のプラグを設けた場合は母材から添板へと各プラグから均等に応力伝達されている.・継手接合部係数を1.48以上とすると,塑性率は95.34までの変形性能および概ね母材最大耐力を確保することができる. 【部材実験】回転摩擦接合による梁継手を有した実寸法の縮尺1/2.5程度となる水平ハンチ付きH形鋼梁の構造性能を確認する目的で正負繰返し載荷実験を実施した.試験体数は3体で,プラグ接合耐力をパラメータとした試験体J12,J14と比較対象のための継手を設けない試験体Nである.最終破断形態は,危険断面位置での全塑性時を基準としたせん断力に対してJ12試験体は1.2倍でプラグ破断となった.J14試験体は1.37倍で添板破断となった.試験体Nの最大耐力は1.41倍であった.さらに,実験結果を基に曲げモーメント勾配を考慮した回転摩擦接合によるフランジ継手の耐力評価法を提示した.
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