| 研究課題/領域番号 |
19K04722
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| 研究機関 | 株式会社竹中工務店 技術研究所 |
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研究代表者 |
金田 一広 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員(移行) (30314040)
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| 研究分担者 |
青木 雅路 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, その他 (10639628) [辞退]
田村 修次 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40313837)
奥村 豪悠 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員(移行) (30591325)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 極限支持力 / 建築基礎 / 砂地盤 / 遠心模型実験 / 剛塑性有限要素解析 / 直接基礎 / 寸法効果 |
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| 研究実績の概要 |
直接基礎の支持力は、国交省告示第1113号第2項の地盤の支持力式を用いて算定される。この支持力式では地震時の水平荷重の影響を基礎に作用する荷重の鉛直方向に対する傾斜角θとして考慮するが、提示された低減式を用いると、大地震では地盤の支持力が計算上ゼロとなるような値まで低下してそのまま適用できないという状態である。一方で基礎の二次設計の必要性が唱えられている中で直接基礎の二次設計を行うにあたって告示式に代わる地盤の支持力の算定法が必要とされている。本研究では、2次設計に対応できる直接基礎の支持力の検討を行うこととしている。3年で研究を実施するが、初年度は基礎的な解析的検討と遠心模型実験を実施した。
まず遠心心模型実験について述べる。遠心模型実験は実物と模型地盤内での応力レベルをほぼ同じにできるとされている。地震時などに水平力および鉛直力が同時に作用する複合荷重作用時の直接基礎の極限鉛直支持力(以下、極限支持力)について直接基礎の静的載荷試験を行い、乾燥砂において複合荷重が作用した際の極限支持力を検討した。実験は2ケース実施している。まずCase1として相対密度70%程度の鉛直支持力を求め、Case2としてCase1の極限支持力の1/3の鉛直荷重を載荷した状態で水平力として水平震度0.2まで水平載荷する。その後鉛直載荷を実施して極限支持力を調べた。Case2での最終的な鉛直支持力はCase1とほぼ変わらず途中に水平載荷という荷重履歴があっとしても極限支持力は変化しない実験結果となった。
一方、数値解析では剛塑性有限要素解析を実施して極限支持力の検討を行った。上記遠心実験と同様、鉛直荷重と水平荷重を作用させた状態で鉛直載荷をして支持力を求める解析を実施したところ、鉛直だけの載荷に比べて水平載荷履歴のあるものは鉛直支持力の低下がみられた。Novaらによって提案されている支持力曲面と比較的良い対応があることも分かった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は基礎的な実験を実施することができた。建築基礎の極限支持力の検討はよくなされているが大地震時などの水平荷重が載荷されているときの鉛直支持力はよくわかっていないのが現状である。従来の研究は１Ｇ場での実験が多く発表されているが、基礎幅が大きくないという欠点があった。しかし、本研究では遠心模型実験を実施して、基礎幅は1mほどではあるが従来のものより大きくすることができている。貴重な実験データを入手することができた。
また、解析においても剛塑性有限要素解析に高次関数の降伏関数を導入し、砂地盤で基礎幅が大きくなるとTerzaghiの支持力公式に比べて小さくなる、いわゆる「寸法効果」を表現できることも明らかになった。したがって、多くのこれらの数値解析的アプローチで複雑な基礎の支持力の検討ができるようになってきた。
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| 今後の研究の推進方策 |
昨年度の実験では遠心模型実験では水平載荷の履歴があっても鉛直支持力の低下がみられないという実験結果が得られ、古典支持力理論にのっとった数値解析とは違う結果となった。今年度はこの違いを解明することを目標とする。メカニズムの解明のアプローチとして有限変形理論による有限要素解析を実施することを考えている。この理論は幾何学的非線形性を考慮することで圧縮場における見かけ上の剛性の増加を表現することができる。さらに土の構成式としてモールクーロンモデルだけでなく古典塑性理論から下負荷面を導入したカムクレイモデルを用いることで土の弾塑性挙動を正確に記述するモデルによる検討も行う。実験で得られている現象がこの幾何学的非線形性に起因するものか、土の弾塑性モデルに起因するものかについて数値解析的に調べる。
また、昨年に引き続き遠心模型実験を実施して基礎幅の影響など基礎的な実験データの収集を引き続き実施する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、前期は解析を先行して実施していた。準備していた解析プログラムを用いて行ったため特にプログラムの変更など行うことなしに実施できた。一方実験に関しては昨年度は綿密に研究協力者と打ち合わせ等をして実施する方針とし、初年度として遠心模型実験の治具のみの予算で実施できた。初年度の計画は想定した予算内で実施できた。しかし、昨年度の実験結果から今年度は新しい数値解析手法の検討やそれに伴う情報収集が必要であると考えている。
そこで、昨年度の繰越金を用いて新たな数値解析手法の確立を実施し、さらに遠心模型実験も2年目なので新たな目標や検討項目が生じているため、必要な模型製作など追加費用に充てることを考えている。
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