研究課題/領域番号 |
19K04725
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
桃井 良尚 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (40506870)
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研究分担者 |
宮本 征一 摂南大学, 理工学部, 教授 (80273316)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CFD解析 / 人体 / 風圧 / 対流熱伝達率 / 乱流モデル / 境界層 / シーリングファン / 非定常 |
研究実績の概要 |
人間の気流に対する感覚知覚メカニズムを明らかにすることを最終目的として、今年度は、まず人体周辺気流解析手法の基礎検討として、人体形状及び人体表面のメッシュ分割方法が人体表面の対流熱伝達率(以降,CHTC)や静圧分布に及ぼす影響について検討を行った。人体形状には、WEB公開されているCFD解析用人体形状データ(バーチャルマネキン:以降,VM)と3Dスキャナによりサーマルマネキン形状を3Dデータ化したデータを用いた。人体表面のメッシュ分割については、一般的に壁面近傍のメッシュ分割の目安として使われる無次元距離y+と人体表面の境界層厚さをパラメータとして検討を行った。なお、CFD解析では、気流方向(水平気流及び上方流条件)、気流の乱れの有無、乱流モデルについても併せて検討を行った。その結果、境界層要素全体の厚さが厚いほどCHTC は小さくなるが、全体の厚さが15mm 程度より厚くなるとCHTC の値はほぼ変化しないことが分かった。乱流強度0%条件では乱流モデルによる差異は小さかったが、乱流強度10%条件ではCHTC の全身平均値について乱流モデルによる差異が見られた。一方、静圧では気流の乱れによる大きな差異は見られなかった。これらの結果より、精度良く人体周辺気流を予測する解析手法についての知見が得られた。 また、時間変動する気流として、シーリングファン気流を対象とした非定常CFD解析も行った。シーリングファンを回転体として再現した非定常移動物体CFD解析に人体形状を付加して解析を行い、人体表面の風圧やCHTCの時間変動値を得た。さらに、縮小人体模型を作成し、人体表面風圧測定実験を行い、解析結果の精度検証用のデータを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度に予定していたCFD解析が順調に行えたことと、3Dプリンタを用いた人体の縮小模型の作成を当初計画より早めに行うことができたため、風洞において人体の縮小模型を用いた人体表面の風圧測定に関する予備実験を行うことができた。2020年度のは、これらの知見を活かして、実験の計画し実施する。
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今後の研究の推進方策 |
サーマルマネキン(以降, TM)形状の3D形状データから3Dプリンタを用いて人体形状を再現した風圧測定用人体模型については、2019年度に作成済みである。この人体模型を用いて、微差圧計による人体各部位(対流熱伝達率の測定部位に準じる)の風圧測定を行う。また、人体模型表面近傍の風速測定も行う。 TMについても、風圧測定及び表面近傍での風速測定を行う。また、TM表面に放射率を変えた2個の1cm角の小型熱流センサ(江藤電機製)を設置し、人体表面の対流熱伝達量を測定する。さらに、熱電対を用いて皮膚表面近傍の境界層温度分布を測定し、その結果から対流熱伝達率を算出することも検討している。これにより、表面風速と対流熱伝達率の関係も把握する。また、実人体についても、同様の測定を行う計画である。 2019年度に行ったCFD解析で得られた各部位の皮膚表面風圧及び風速の結果を比較することで、解析の精度検証を行うとともに、2021年度に実施する予定の気流感に関する被験者実験に対応する物理環境データの把握を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に、大阪大学にて行った風洞実験の施設使用料として予算確保していたものの、費用請求時期と学内の経理処理の都合上、当該助成金からの支払いができなかったため、運営費交付金により支払いを行い、次年度使用額が発生した。
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