最終年度である令和3年度(2021年度)においては、本研究目的の第一番目の項目である「非火災空間である中廊下に火災発生空間からの漏煙があった場合の、自然排煙時の漏煙量と排煙口面積の関係の定量的検討」を第二年度に引き続き検討を行った。さらに、「非火災空間である中廊下に火災発生空間からの漏煙があった場合の、機械排煙時の漏煙量と排煙口間距離の関係の定量的検討」についても検討を行った。前者の「非火災空間である中廊下に火災発生空間からの漏煙があった場合の、自然排煙時の漏煙量と排煙口面積の関係の定量的検討」については前年度までに得られた結果から、通常の定常的な外気風が自然排煙口と平行に吹いている際には、火災室からの漏煙を有効に排出することが困難であることが確認されたため、この対策として自然排煙口の両サイドに袖壁を設けた場合の効果について検討を行い、その効果を定量的に明らかにした。また、前年度に検討を開始した「非火災空間である中廊下に火災発生空間からの漏煙があった場合の、機械排煙時の漏煙量と排煙口間距離の関係の定量的検討」については、前年度の予備検討結果を踏まえ検討を行った。その結果、漏煙量と排煙口間の関係の定量的な関係を定量的に検討するためには、機械排煙時の給気口面積やその設置位置が極めて重要であることが明らかになった。そこで、機械排煙時の給気面積と排煙効率の関係を上記で検討した中廊下面積と同じ面積の矩形空間を対象に、法定排煙量の機械排煙時の排煙効率に与える排煙給気口位置およびその面積の関係を定量的に検討した。その結果、機械排煙においても自然排煙同様に、排煙のための給気の位置、面積がその排煙性状に非常に大きく、その空間形状に応じた適切な給気口位置があること、また給気口面積については例えば一般的な機械排煙口面積の4倍程度まではその面積に比例して排煙効率は向上することが明らかとなった。
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