研究課題/領域番号 |
19K04729
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北野 博亮 三重大学, 工学研究科, 准教授 (80293801)
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研究分担者 |
岩田 剛 三重大学, 工学研究科, 技術専門員 (20636542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蓄熱 / 温度成層型蓄熱槽 / 空気調和 |
研究実績の概要 |
再生可能エネルギーや廃熱などを最大限利用するため,複数の熱源からの冷熱や温熱をその温度や熱量に応じて蓄熱し,冷暖房や給湯などの温度レベルの異なる複数の用途に利用することが可能な蓄熱システムの開発を最終目的としている。本研究課題では,蓄熱槽として、高さ方向に複数の流入出口を設けた温度成層型蓄熱槽を対象とし,蓄熱槽の基本性能の把握と槽内温度性状を予測するための槽内混合モデルの開発,多様な熱源で構成されたシステムを想定したシミュレーションによる性能評価を目的としている。 2020年度は、昨年度に引き続き、基本的な蓄熱性能の把握と数値流体解析および槽内混合モデルの精度検証のための比較データの収集のため,模型実験を行った。また、数値流体解析によって、模型実験装置では不可能な条件の解析を行い、複数の温度成層を有する温度成層型蓄熱槽の槽内混合特性について検討を行っている。また,今後の槽内混合モデルの開発のために用いるため,解析結果を蓄積している。 数値流体解析の結果から,温度分布のある槽内に中間的な温度の流入がある場合,流入温度と等しい槽内水温の位置から流入させることが理想的であるが、若干ずれた流入位置を選択しなければならない場合、流出側に近い流入位置を選択することで混合損失の少ない蓄放熱が可能であること,流入位置によっては,初期の槽内の高温領域が流入水との混合により温度が低下する等,かなりの量の混合損失が生じること等が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
槽内温度を予測するための槽内混合モデルについて,当初考えていた「流入水と槽内水との密度差に応じて、流入水と槽内水が混合する領域の位置と深さを決定する方法」では,流入温度と流入位置の槽内温度が異なる場合の混合性状を適切にモデル化できないことが明らかとなり,当初,2020年度に完了する予定であった槽内混合モデルを開発出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,以下の課題に取り組む。 数値流体解析:温度成層型蓄熱槽のような乱れの抑制効果が高い流れの解析に用いられている乱流モデルを用いた数値流体解析を行う。実験結果と比較して槽内温度についての計算精度の検証の後,実験では不可能な条件を含む,複数の温度帯の蓄熱を想定した解析を行う。 槽内温度を予測するための槽内混合モデルの開発:複数の温度成層が形成される蓄熱槽に任意の位置(高さ)において流入出がある場合の、槽内混合性状のモデル化を行う。当初考えていた,「流入水と槽内水との密度差に応じて、流入水と槽内水が混合する領域の位置と深さを決定する方法」では,流入温度と流入位置の槽内温度が異なる場合の混合性状を適切にモデル化出来ず,温度分布を精度よく予測できないことが分かった。今後は、流入水を密度噴流として取り扱うモデルの検討を行う。 運転シミュレーションによる性能検証と最適化:複数の温度帯の蓄熱が行われる具体的なシステムを想定したシミュレーションを行い、想定した運転の実現可能性の検討、蓄熱槽の混合損失の定量的把握、蓄熱槽容量や流入口設置位置等の最適化や制御方法の最適化について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
不要な支出を控えた結果,24,373円の次年度使用額が生じた。次年度に行う数値計算のソフトウェアライセンス費用の一部に使用する予定である。
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