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2020 年度 実施状況報告書

ウランバートル市の都市居住者ゲルの熱環境改善及び大気環境負荷低減

研究課題

研究課題/領域番号 19K04730
研究機関九州大学

研究代表者

萩島 理  九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60294980)

研究分担者 池谷 直樹  九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70628213)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード省エネルギー / 伝統建築 / 断熱改修 / 大気汚染 / 暖房負荷 / 寒冷気候
研究実績の概要

本研究はウランバートル市のゲル地区における都市定住者のゲルにおいて、厳冬期における室内暖房のための石炭ストーブの大気汚染物質排出量の低減及び、ゲル室内の居住環境の質向上を実現する事を目標として、ゲルに住む低所得階層の経済状況や人々の生活習慣、住居に対する考え方や住まい方に即した、affordableな方策を模索している。2020年度は、2020年1~2月に行った現地実測のデータ解析を主に行った。
この現地実測は、ウランバートル市郊外の同一敷地内にある、ほぼ同じ大きさのゲル2戸を対象としたもので、測定期間の前半1週間は、ゲルや暖房機器などに一切の変更を加えず、住人が日常と変わらず生活している条件において、室内熱環境を測定している。測定期間の後半は2戸の内の1戸について筆者らが開発した断熱パネルによるretrofittingを施すと共に、組み立て式風除室を設置した比較実験である。なお、retrofittingは、フェルトの張り替えを数年毎に行うというtemporalな住戸としてのゲルの特性を考慮し、断熱材をシートで被覆したパネルを室内側から固定する手法をとっている。また、パネルの輸送や設置の容易さを考慮して、室内側からラティス等の骨組みに固定、パネルは相互にマジックテープで固定する事でパネル間の漏気を防ぐ仕組みである。
この実測によって、まずretrofitting無しでの室内熱環境の特徴を明らかにした。特筆すべきは、ストーブの暖房火力の不安定性による室温の顕著な時間変動で、ストーブへ投入する燃料の量やタイミングが居住者により、日によりその挙動は異なっていた。この不安定な火力により、早朝から朝方は空気温度は18℃を下回る時間帯が頻出する一方、昼間には、過剰暖房により居住者が意図してドアを開け寒冷外気を導入する行動も見受けられた。加えて、retrofitting後の測定データに基づき断熱改良による効果についての検証を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度末の実測により多くの貴重なデータを取得する事ができたため、その解析により伝統的な移動住居としてのゲルの冬季における熱環境の実態を詳細に把握する事ができた。当初は2020年度の冬季にも追加で実測を計画していたが、コロナ禍により現地のフィールドワークが出来なかったが、それを補えるだけの解析が進んだと考えている。

今後の研究の推進方策

研究期間の最終年度には開発した手法については、現地の自治体関係者やゲル地区の住民を対象としたワークショップなどを当初は想定していた。しかし、新型コロナの影響により海外渡航や現地での様々なフィールドワークが出来るかどうかは不透明である。そこで、まずは、2019,2020年度に開発したretrofitting手法について、省エネルギーや大気汚染物質排出削減効果のみならず、経済性も考慮した包括的な効果検証を行うなど、シミュレーションやデータ分析の手法を主な手法として研究を行う。

次年度使用額が生じた理由

科研以外に期間1年の外部資金を得ることが出来たため、その資金を優先的に充当した。これにより、2020年度分を繰り越し研究期間の最終年において、学術研究員を雇用するための経費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] モンゴル科学技術大学(モンゴル)

    • 国名
      モンゴル
    • 外国機関名
      モンゴル科学技術大学
  • [雑誌論文] A Field Survey of Traditional Nomadic Dwelling Gers Used as Urban Habitats in Ulaanbaatar, Mongolia2020

    • 著者名/発表者名
      Uelun-Ujin Purev, Aya Hagishima
    • 雑誌名

      Evergreen

      巻: 7(2) ページ: 155-171

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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