研究課題/領域番号 |
19K04733
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
小林 謙介 県立広島大学, 生物資源科学部, 准教授 (30581839)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ライフサイクルアセスメント / CO2排出量 / 建築・住宅 / バックグラウンドデータベース / ツール |
研究実績の概要 |
環境影響を定量化するLCAは、以前にも増して必要性が高まっている。本研究は、マルチクライテリア(多様な環境影響を評価すること)での評価を前提として、(a)建築物評価用の指針(評価ルール)の提案、(b)設計のこだわりを反映できる原単位データベースの提案・構築、(c)作業負荷を極力軽減できる評価ツールの提案・構築を目的としている。
(a)建築物評価用の指針の提案: 本年度新たに建物を追加し、モデル建物計11件を対象に住宅(木・RC・S造)・非住宅(住宅・学校・工場等)のように多岐にわたる建物の分析を行った。うちの6件はライフサイクルを対象に、マルチクライテリアでの評価における支配的要因を明らかにできた。本分析により、概算や精緻な分析などの目的に応じ、最低限収集すべき投入原材料データ等を明らかにした。今後は、案として提案し建築学会から公表された評価の目安の改善案を検討したい。 (b)設計のこだわりを反映できる原単位データベースの提案・構築: わが国最大級のIDEAの拡張を想定し、海外のデータの推計手法、単位換算データベースの構築手法、建築実務者向けのインベントリデータの拡充について検討した。海外版は世界の全ての国について簡易的に推計する手法を検討し、12か国での推計データが公表された。単位換算データベースは、昨年度作成した140データもを含め計342データ程度の単位換算データベースを構築した(一部他の研究での成果を含む)。インベントリデータベースは、ISOに準拠した形でのデータベースの整備方法を検討し、文献等を調査することでインベントリデータ作成可能なデータを100程度抽出できた。 (c)作業負荷を極力軽減できる評価ツールの提案・構築: 提案した建物のLCA評価ツールについて、一事例ではあるが、建設事業者が利用し環境ラベルを取得した。また、その過程でツールの改善点・課題を抽出できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、おおむね順調に進んでいると認識している。いずれも昨年度までの成果を踏まえ、本研究の目的達成のための検討が順調に進んでいる。また、本研究の成果は、社会に公開され、活用事例が増えてきている。 (a)建築物評価用の指針の提案: 1年目の課題であったサンプル数の増加を行い、多様な建物における支配的要因分析を行うことができた。これによって、支配的な要因などの勘所をおおむねつかむことができた。これらを踏まえつつ、一層汎用性の高い評価の目安にすべく現行の目安(案)を改善したい。 (b)設計のこだわりを反映できる原単位データベースの提案・構築: 構築した手法をもとに、日本とつながりが深い国(14か国)を対象として推計データベースを構築(研究協力者の産総研で実施予定)し、作成したデータベースを公表した。さらに、追加で9か国を作成中で、我が国の輸入額の8割をカバーできることになり順調に進んでいる。 単位換算データベースも新たに作成したデータは、建築学会のLCA小委員に提案し、一部他成果を含めてだが建築学会 LCA小委員会の審議を経て、当該小委員会ウェブサイトから342データが公表されている(2020年度末時点)。 (c)作業負荷を極力軽減できる評価ツールの提案・構築: 昨年度提案したツールが実社会で利用され、環境ラベルを取得した。本件は申請者とともに検討が行われ、本ツールを利用する過程での課題などを精査することができた。最終年度にそれらの課題を反映する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの取り組み内容を踏まえて、一層質の高い成果に結び付けたい。また、それと同時に、より質の高い研究成果を社会に還元すべく、一層充実したガイドライン・データベース・ツールの提供のあり方も検討したいと考えている。 (a)建築物評価用の指針の提案: これまでのモデル建物の支配的要因分析をもとに、申請者が中心となって提案した建築物の評価の目安(ガイドライン)の案(建築学会から公表)の見直していきたいと考えている。 (b)設計のこだわりを反映できる原単位データベースの提案・構築: 構築した手法をもとに、日本とつながりが深い国を対象とした推計データベースを一層充実させたい。 また、建築分野に特化した単位換算データベースのさらなる充実も重要と考えている。さらには、昨年度までに約100の候補を選定した建築分野にかかわるイベントりデータベースの構築を行って、公表していきたいと考えている。 (c)作業負荷を極力軽減できる評価ツールの提案・構築: すでに公開したゼロ次版のツールについて、建設事業者の環境ラベル取得に際して得られた課題・改善点をなども踏まえながら、ツールの改善を図りたいと考えている。また、上記の成果をできる限り盛り込むような形で寄り用ツールとしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当該研究に関連する機関・担当者との打ち合わせが軒並み延期となったこと、また、成果発表のための学会大会などにも予定が変更になったものがあることなどから、当初の予定通りに執行されなかった分がある。今後、これらは、コロナウイルスの状況を鑑みつつ、できる限り着実に執行していきたいと考える。
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