特別養護老人ホームでは室内から発生する臭いに関して、特に気になるのはおむつ交換時の糞便臭である。介護者や面会家族に対する快適性維持や省エネルギーの観点からこのような臭いを効率的に除去することが重要である。 今年度、本研究で開発した局所換気装置の①捕集率の測定実験と②臭気物質(メチルメルカプタン)の空間分布とその嗅覚試験、および③捕集性状が良好となる空調方式を検討することを目的とした。 上記①では実験室実験において、局所換気装置の排気風量によって捕集性状が向上することと、一般的なエアコンを用いて冷暖房時の空調擾乱を与えた場合、従来の局所換気装置と本研究で開発した局所換気装置の捕集性状を比較すると後者の方が捕集性状が良好となることを確認した。 上記②では臭気物質の空間分布をにおいセンサで計測すべく、予備実験を実施し適切なセンサの選定を行った上、長期間に渡り、実験室実験を試みが、満足のいくデータを取得することが出来なかった。このようなことから、次年度に再度センサの選定を行った上、実施する予定である。 上記③では介護空間に置換空調を適用し、数値シミュレーションで混合空調である一般的なエアコンと置換空調における局所換気の捕集性状に与える影響を検討し、置換空調が捕集性状を良好とする空調方式であることを明らかにした。 本研究で開発した局所換気装置、あるいは局所換気装置の捕集性状を良好にするには、局所換気と空調との相互作用による影響を考慮することにより、介護空間における臭いの問題が軽減されることが明らかになった。
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