研究課題/領域番号 |
19K04748
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
田中 麻里 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (10302449)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 居住環境 / 居住文化 / 洪水 / 受容 / 防災教育 |
研究実績の概要 |
タイでは2011年に大規模な洪水があり、バンコクを含む中部タイ地域を中心に甚大な被害を及ぼした。しかし、小規模な洪水は各地で生じており、洪水を受け入 れながら居住環境の維持管理が行われ、減災の仕組みが年中行事に組み込まれるなど固有の居住文化が形成されてきた。本研究では、地形的にも浸水が長期化す る中部タイを対象として、洪水を受容した居住環境の維持管理の仕組みやその変容を明らかにし、地域に見られる減災の知恵や工夫を居住文化として捉え、それらを継承する防災教育の教材を制作することを目的としている。 今年度は文献調査をもとに歴史的側面からアユタヤの居住環境について整理を試みた。アユタヤ王国は17世紀には国際商業都市として繁栄し、世界中から人が集まり民族ごとに居留地が形成され様々なものが取引されていた。アユタヤの気候的な側面による特産物はもちろん、アユタヤが雨季には長期間浸水することによって、大量に入手できたものもあり、それらが経済的な繁栄に結びついていることも分かった。 また、アユタヤのように長期浸水する同様の地域での調査を開始した。河川に囲まれた低地でかつては頻繁に洪水が発生し、長期浸水する群馬県板倉町周辺地域において、長期浸水時に生活を継続するための水防建築の現存状況調査、水防建築の使われ方や舟の利用、備蓄米をはじめとする長期避難生活に対応するための備えなどについて文献調査と現地調査を行い、実態と変容が明らかになりつつある。長期浸水する地域での減災の知恵や工夫を継承する防災教材の資料として継続して調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため海外調査が実施できなかったため文献調査を行った。その一方で、国内で同様の特徴を持つ地域での調査を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が収束したのちは計画通り、海外調査を実施する。また、長期浸水する国内地域の調査を継続して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため海外調査が実施できなかったためであり、本年度は計画通り海外調査を実施する予定である。さらに、研究テーマに関連した国内についても調査を継続して進める予定である。
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