研究課題/領域番号 |
19K04753
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡松 道雄 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90591157)
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研究分担者 |
宋 俊煥 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00725244)
毛利 洋子 活水女子大学, 健康生活学部, 准教授 (90610444)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 仮設デザイン / 低未利用空間活用 / 暫定活用 / 官民連携体制 / エリアマネジメント |
研究実績の概要 |
初年度の活動がほぼ予定通り進み、令和2年度はその継続として「準公園化」(私有地の公的活用:研究計画調書P3図3②、交付申請書9.研究の目的①)による公私領域の連続的一体的活用を試みた。初年度に実施した空き家の改修による交流拠点施設(コンフリ宇部:稼働中)に接する隣地(私有地)を借り上げ、芝生を植えることでパブリックペースとし、既存の芝生広場と公道を介して隣接させ、イベント時に一体活用を可能とした。同時に近隣から移設された宇部市の起業支援施設「うべスタートアップ」と併せ、三者が互いに接して立地することを活用した連携利用を促した。この活動は計画調書P3③で述べた「地域内ネットワーク化」の一形態であり、屋内外空間・公有私有空間を問わず、各領域境界を跨いだ連続的活用(計画調書P2図1)の実践である。具体的には①宇部市中央町グランドデザイン発表時(R2/8/7)には、スタートアップとコンフリ宇部を同時に活用することで密集を回避し、かつzoom配信によるオンライン参加も可能とした。②屋外仮設家具製作ワークショップ(R2/10/24)では、芝生広場(私有地)での製作活動に加え、路上(公道)にキッチンカーを配置し、コンフリ宇部(空き家活用)ではBBQイベントを行うなど、公私領域を跨いだ空間活用を試みている。③2020年度国土交通省中国整備局の「公共空間や低未利用地の活用にむけたワークショップ」(R3/1/12)を行うのと並行して、コロナ対応策として④open street UBE (http://openstreet-ube.com/:R2/8/5~R3/9/30)を実施し、経済活動の維持のための路上空間活用について、法的根拠を明確にしつつ、道路占用制度の最前線を実施継続中である。これらの実践活動に関連した地方都市の課題をテーマに学会等での発表を11件、査読論文掲載を2件おこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「地域内ネットワーク化」については充実した実践活動を行えた。本研究の計画調書P3図3に示す研究計画工程概要の令和2年度(2年目)の内容(②~⑤)は実施済である。一方で、コロナ禍により地域間の移動が制限され、予定していた公民学それぞれのカウンターパートをつなぐ試みが実践できていない。今後も感染が継続あるいは拡大することが予想され、地域間連携については実施が難しいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度予定していた宇部市と鹿児島県いちき串木野市との「地域間連携」活動については、コロナ禍により不可能となった。その分上記「研究実績の概要」に示す「地域内ネットワーク化」の実践に注力した。今後も感染拡大が予想されるため、地域間の交流は見込めず、引き続き地域内の公民学の役割や体制づくりによる、エリア価値の向上という点に軸足を置くように研究方針を修正したい。今後は賑わい創出のための空間活用に焦点をあてることで、活動が地域内に限定されても見いだせる汎用性のある知見の獲得を目指したい。現時点で考えられることは、これまでの実践活動から、屋内外や異領域間をつなぐ役割を担う建築的な「設え」(インターフェイス)が重要ではないか、ということが予想される。その設え(インターフェイス)のあり方や具体的な建築要素について着目し、研究を推進してゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
主にコロナ禍による諸学会のオンライン開催・地域間交流の中止等により、旅費が発生しなかった事に加え、参加料も減免され予定していた旅費・その他の項目に余剰が生じた。最終年度には、学会の開催や地域間交流が再開されれば、その分に充て、開催されなければ地域内活動のための物品や、分析のための機材購入にあてる予定である。
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