研究課題/領域番号 |
19K04762
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
佐々木 伸子 福山大学, 工学部, 准教授 (90259937)
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研究分担者 |
下倉 玲子 呉工業高等専門学校, 建築学分野, 准教授 (50510442)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / 通常学級 / インクルーシブ / カームダウン / 合理的配慮 / 行動特性 / 特別支援教室 / 構造化 |
研究実績の概要 |
障害のあるなしに関わらず全ての子どもが一人ひとりにあった教育を受けるインクルーシブ教育の推進が求められている。本研究は、通常学級で学ぶ発達障害などの子どもが障害特性による問題を発生しにくくするための普通教室の構造化を検討することを目的としている。3年目の2021年度は、インクルーシブの教育環境の条件を整理するために、特別な支援を行う小学校を対象として、支援と教室配置の特徴を明らかとした。 特別な教育支援については、学校教育法に基づく特別支援教育の制度による支援と自治体や各学校が設置している支援、制度ではなく各校が独自に校内の空間を使って配慮を行う支援の3項目について条件を設定して分類した。小学校では特別な支援を持たない「包括型」、制度上の特別支援教育として人員が配置される「分離型」と「取出し型」、制度面の支援以外に各校で支援拠点をつくる「校内支援拠点型」、不登校に特化して学校に学寮といった生活支援を取り入れた「生活支援型」の5つのタイプに分けられた。これを特別な支援が行われる場所によって分類すると特別な空間を持たず指導面での配慮を行う「同一空間型」、特別な教室を設置する「教室分離型」、通級指導教室などによる通常学級からの「取り出し型」、支援のための場所を設置する「支援施設型」の4タイプに分れた。インクルーシブ教育のための特別な支援の内容と空間を分析した結果、特別な配慮は支援のために用意された空間だけでなく、使われ方では普通教室の中やオープンスペースが使われていた。今後は、具体的な特別な配慮の内容と空間の関係について詳細な分析をすることが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の研究ではスウェーデンのインクルーシブ学校調査を計画していたが、2020年度に引き続きコロナ禍の影響で海外調査はできなかった。そのため、国内調査に重点をおいた研究に変更した。しかし、コロナ禍の影響で長時間の滞在による詳細な調査は調査対象校から断られる等の状況があったため、短時間のみの訪問調査やオンラインのビデオ会議によるヒアリングで研究を実施した。 結果としては、これまで不明な点の多かったインクルーシブ教育環境について現状を整理することができた。この情報をもとに国内の先進事例校を選定し、次年度は通常教室での配慮に関する実態調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による制限が解除されつつあるため、2022年度は学校調査が可能になると考えている。普通教室での特別な配慮を行う先進事例を抽出して教室の使われ方の詳細な実態調査を行う。また、実態調査の時間不足による情報を補うための教員へのアンケート調査を計画している。以上より教室の構造化の条件を明らかとしたい。 また、この2年できていないスウェーデンのインクルーシブ学校調査は、今年も困難が予想される。スウェーデンに限定せずコロナ禍の移動制限の状況をみながら受け入れ可能な国のインクルーシブ学校に変更して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していたスウェーデン調査が実施できなかった。国内調査も長時間の訪問実態調査が断られ、短時間の調査やオンラインヒアリングを行うなど研究計画とは異なる状況となった。次年度はコロナ禍による制限が減ってきているため、実施できると考える。
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