研究課題/領域番号 |
19K04768
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北後 明彦 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30304124)
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研究分担者 |
廣井 悠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50456141)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自然災害 / 火災 / 強風 / 浸水 / 地震 / 出火メカニズム / データベース / 起因 |
研究実績の概要 |
自然災害全般を対象とした火災のリスク評価・対応技術の確立のため、次に示す(a)~(c)の課題について研究を継続して実施した。(a)自然災害を起因として発生する火災に関する国内外を対象とした事例収集については、2018年北海道胆振東部地震に関連した火災の状況を取りまとめるとともに、令和元年房総半島台風に関連して発生した火災について調査を行った。胆振東部地震に起因する火災については、北海道内の消防本部に対して電話、対面および書面による調査を行った結果、火災12件に関する情報を得ることができ、原因や火災種別を分類した。原因はろうそくが5件(42%)と最多であり、電気配線、及び、潤滑油に高温物接触がともに2件(17%)などであり、通電火災の可能性がある事例は2件(17%)であった。令和元年房総半島台風に関連して発生した5件の火災については、市原市消防局にヒアリング調査を行い、激しい風雨による雨漏りでスパークが発生し,電気配線被覆類に着火した危険物一般取扱所の建物火災、太陽電池モジュールでの火災、停電発生時のヒューマンエラーによる火災、停電復旧時に過電流が原因で発生した火災等についての資料を収集した。(b)自然災害を起因として発生する火災に関する調査方法の確立に関しては、これまでに蓄積した東日本大震災における津波火災における調査手法を参照しながら、令和元年房総半島台風に関連して発生した火災を例として調査方法の可能性を探った。(c)自然災害を起因として発生する火災の出火メカニズム推定については、風雨や浸水を起因とした火災の調査結果と本研究グループがこれまでに実施した東日本大震災における津波火災の一部の火災に類似する点が見られることから、引き続き一定の出火メカニズムの特定の可能性を探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の中で、現地調査を行うことが困難であったが、オンライン面接、書面での問い合わせを併用することにより、ほぼ当初通りの進捗とすることができた。しかしながら新たに調査を開始する際には、現地に出向かない場合は調査先との調整が困難となるので、新規の調査を開始することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
自然災害全般を対象とした火災のリスク評価・対応技術の確立のため、次に示す(a)~(c)の課題について研究を継続して実施する。(a)自然災害を起因として発生する火災に関する国内外を対象とした事例収集については、コロナ禍の中、新規の調査が困難であるがオンラインを通じた調査ができないか試みるとともに、既存文献の収集整理を行い、これまで本研究グループで収集した阪神・淡路大震災、及び、東日本大震災の火災に関するデータや既存文献の収集整理により自然災害を起因とする火災のデータベースを構築する。(b)自然災害を起因として発生する火災の調査方法を確立についいては、調査方法を継続して検討し、浸水火災や大規模停電火災などその他の自然災害を起因とした火災の際も援用できるかどうかを検証する。(c)自然災害を起因として発生する火災の出火メカニズム推定については、 (a)で構築したデータベースを用いて作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の中で、現地調査を行うことが困難であったが、オンライン面接、書面での問い合わせを併用した。また、新たに調査を開始する際には、現地に出向かない場合は調査先との調整が困難となるので、新規の調査を開始することが困難であった。以上のことから、当初予定していた調査旅費の執行が困難であった。次年度使用額については、これまでの収集資料に基づく自然災害を起因とする火災のデータベースを作成する際のアルバイト経費として用いる。
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