研究実績の概要 |
本研究は、以下を目的としている。(1)北海道に残された膨大な開拓関連資料の中に散在する殖民都市の「市街地区画図」を発掘し、CADを用いて精緻な復元図を作成し、データベース化する。(2)これをGIS上の現代の地図情報や多様なデータと重ね合わせ、自然環境に適応した環境共生型の都市設計手法を解明する。(3)これらで蓄積された多様な都市設計手法(山当て・景観軸など)が、現代の都市デザインにどのように活用されているかを検証し、類型化する。 研究2年度目である令和2年度は、初年度と同様に上記の目的(1)(2)を実施した。目的(1)については、主に初年度に各種文献等から確認していた市街地区画関連図について、その出典や原図の存在を各市町村の教育委員会等に確認し、存在が確認された場合には、現地にて撮影・複写を実施した。その結果、DID都市の資料収集を中心としながらも、復元図を作成するために有効な資料が発見された約70都市について、CADを用いた復元図を作成した。 目的(2)については、以下の3編の査読付き論文を発表した。「寺院の再配置実績からみた殖民都市の市街地形成過程に関する研究,日本都市計画学会都市計画論文集,第55-3号, 2020.10」では、寺院敷地を再配置することでグリッド市街地を再編し、都市軸を形成していくプロセスを明らかにし、「北海道殖民都市における舟運との関係からみた市街地構造の実態,日本都市計画学会都市計画論文集,第55-3号, 2020.10」では、舟運(船着場)との関係からみた都市軸形成のプロセスを解明した。また、「殖民地区画との関係からみた明治期の北海道市街地の設計手法,日本都市計画学会都市計画論文集,第55-3号, 2020.10」では、北海道における市街地設計の手法を原野区画との関係から解明を試みた。
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