地域居住を推進するために従来の「住宅」や「施設」の整備だけでなく,「活動支援拠点」の整備が必要という立脚点をもつ。平日や休日,1日のなかでも長期間や短時間に関わらず地域に障害者が自由に訪問できる活動支援拠点が必要である。本年度では機能や空間構成の把握と障害特性に配慮した空間整備の状況および地域の特性の把握を行うため,最終年度ではX市にあるY商店街の複数の活動支援拠点を対象に調査を行った。その結果,(1)商店街と障害者の事業者が対等な関係を築くことができる連携を作ること。(2)商店街のニーズと障害者のニーズのマッチングが行われたこと。(3)空き家活用は有効であり,さらに地域を重要視するために空き家と事業内容のパッケージで商店街から障害者事業者への貸し出しが行われたこと。(4)元々店舗付住宅を用途転用していることから,住民と関係を築く店舗部分の開いた場と仲間だけで関係を深める閉じた場とを配置しやすい構造であることが明らかになった。 これまでの研究を通して,以下の研究成果を得た。社会的つながりをつくりやすくするために社会資源だけでなく地域資源を充実化・持続化することが必要であり,その仕組みを明らかにした。(1)活動支援拠点は地域資源の一部を担い,地域住民の利用者も多い拠点とすること。(2)活動支援拠点はこれまで地域資源を担ってきた空き家を活用することが効果的であること。(3)活動支援拠点を地域に面的に展開すること。(4)活動支援拠点の事業者と地域のステークホルダーと連携を深めること。(5)活動支援拠点で地域住民との交流により気持ちに良い変化をもらたし健康や症状改善にもつながっている障害者もいること。
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