1.災害ハザードエリアにおける居住誘導区域の指定手法 徳島市の新築住宅の位置情報と浸水想定区域のデータを用いた立地特性について分析を行い、洪水イエローゾーンへの条例等による土地利用規制を提案した。本ケーススタディーはあくまでも、居住地から災害ハザードエリアを除外する方法論を示したものであり、大規模河川が流れる自治体では、市街化区域等の大部分が浸水想定区域に指定されている所も存在する。そのような自治体については、市街化調整区域や居住誘導区域白地の高台等に造成された郊外住宅団地等の既存土地インフラも活用できるよう、都市計画マスタープランや立地適正化計画の見直しにより土地利用の整合性を図る等の措置が考えられる。 2.居住誘導区域における公営住宅の集約 立適計画を策定・公表している都市を対象に、公営住宅の立地誘導に関する計画手法の分析を行った。その結果、今後の立適計画を用いた公営住宅の立地誘導に関する以下の知見を得た。(1)団地の立地が居誘区域内外であるかを基準に、集約、再編、廃止の手法を使い分け立地誘導を図っていた。(2)長寿命化計画策定の際、団地敷地の立地環境の判断基準に、居誘区域を用いていた。(3)大規模かつ交通利便性の高いエリアの住宅団地については、区域指定の際に居誘区域に編入していた。(4)行政区域全体が立適計画の範囲となっていない都市については、住宅団地の立地バランスを考慮し、都市マスを援用した独自区域を設け、居誘区域外においても立地誘導を図っていた。今後、各自治体の都市マス、立適計画、長寿命化計画の改定の際に、これらの知見を踏まえ、公営住宅の立地誘導が望まれる。
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