研究課題/領域番号 |
19K04792
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
柴田 建 大分大学, 理工学部, 准教授 (60325545)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 郊外 / エリアマネジメント / スタートアップ拠点 / 空き地 / 空き家 / ニュータウン |
研究実績の概要 |
本研究は,高度成長期に開発された郊外戸建て住宅地の次世代への継承に向けて,脱ベッドタウンのためのクリエイティブコミュニティの創出に関するポテンシャルを探ることを目的としている。 特に,空き空間(空き家・空き店舗・空き地)を,郊外における新たなモノ・コトづくりの拠点とすることにより,担い手の発掘と支援を行う アクションリサーチを実施するとともに,国内外の先進事例に関するフィールドワークと合わせて得られた分析結果を整理検討することで,郊外型のエ リアマネジメント手法の構築に向けた知見を得ることを目指している。 2019年度には,福岡県の日の里ニュータウンをフィールドワーク調査及びワークショップ等の地域活動を行った。特に,コミュニティ拠点「CoCokaraひのさと」を対象とした調査では,スタートアップ拠点としての役割と,そこで育成された担い手が,ニュータウン内の他の空き空間を利活用していくプロセスを明らかにした。また,一方で,アクションリサーチとしては,地域居住者とのワークショップ等により,一部の団地再生を,民間事業者・地域住民・公共と大学が連携しながら進めていくためのネットワーク構築を行し,新しい郊外のライフスタイルとその場について議論を行いながらプロジェクトを進めている。 さらに,北九州市の,塀のない特徴的な配置計画のなされた戸建住宅地「サトヤマヴィレッジ」の領域形成および住環境マネジメントに関する観察調査を行うことにより,コミュニティの場の形成プロセスに関する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日の里ニュータウンにおいては,2020年2月までは,概ね順調にフィールドワーク調査,およびアクションリサーチのプロジェクトを実施し,成果をまとめることができた。ただし,2020年2月末に予定していたまちづくりに関する現地でのシンポジウム等が,コロナ禍によって中止となり,その後は,エリアマネジメント組織の構築が一時停滞している。研究においても,現地で予定していた研究成果発表会等を行いことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降については,コロナ禍の影響も検討しながら,以下の活動をおこなう。 1)日の里NT等の住宅地における小商いやスモールビジネスのスタートアップ拠点及びコミュニティファームについて,引き続き,現地で空間の実測,および運営開始の経緯や参加者の特徴等についてインタビュー調査等のフィールドワークを実施することにより,新たなコミュニティの担い手の育成プロセス明らかにする。 2)日の里ニュータウン等において,開発当初に地域コミュニティが実施したイベント・事業等を分析することにより,1970年代に新規開発された住宅地においてコミュニティが果たしていた役割を検討する。さらに,1)で分析した現代の開かれたコミュニティ活動と比較分析を行うことにより,クリエイティブコミュニティの特徴を検討する。 3)日の里において,団地再生や大通り活性化等のテーマで地域居住者・民間・公共とプロジェクトを実施することをを通して,郊外型のエリアマネジメントの可能性について引き続き検討を行う。 4)最後に,フィールドワークとアクションリサーチに より得られたクリエイティブコミュニティに関する知見を整理し,郊外型エリアマネジメント手法のあり方に関するモデル提案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により,年度末に一部の現地取材等がキャンセルとなった。2021年度には,フィールドワークが実施できる状況となった時点で,現地取材等を再開する。
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