郊外ベッドタウンにおけるクリエイティブコミュニティの創出に関するモデルスタディ

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K04792
• 研究機関: 大分大学
• 研究代表者: 柴田 建 大分大学, 理工学部, 准教授 (60325545)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 郊外 / エリアマネジメント / 空き地 / 空き家 / 団地再生 / ニュータウン

研究実績の概要

本研究は，高度成長期に開発された郊外戸建て住宅地の次世代への継承に向けて，脱ベッドタウンのためのクリエイティブコミュニティの創出に関するポテンシャルを探ることを目的としている。 特に，空き空間(空き家・空き店舗・空き地)を，郊外における新たなモノ・コトづくりの拠点とすることにより，担い手 の発掘と支援を行うアクションリサーチを実施するとともに，国内外の先進事例に関するフィールドワークと合わせて得られた分析結果を整理検討することで，郊外型のエリアマネジメント手法の構築に向けた知見を得ることを目指している。
2020年度には，福岡県宗像市の日の里団地において，１）団地リノベーションの地域拠点「ひのさと４８」における担い手と利用者に関するフィールドワーク，２）駅前高層団地再生についての設計案提案と地域ワークショップの実施，３）５０年前に入居した第１世代の地域活動に関するインタビュー調査，を実施した。
また，大分市敷戸団地では，中央の近隣センターについて，その計画の経緯等をまとめる計画史的考察を行った。また，現地の既存コミュニティカフェと連携してマルシェイベント等を実施することで，今後の拠点づくりの活動について検討した。
以上の活動により，郊外住宅地におけるクリエイティブコミュニティ創出に関して，その可能性と課題についての知見を整理することができた。
ただし，本来であれば２０２１年度が最終年度であるが，コロナ禍によりいずれのフィールドでも十分に活動等ができていないことから，２０２２年度末までの延長申請を行った。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍の影響により，2021年度には，県外のフィールドである福岡県宗像市の日の里団地における現地調査がほぼ実施できなかった。自治会の会報等の文献資料の分析，オンライン会議システムを用いた居住者へのインタビュー等を実施したが，十分なフィールドワークとは言えない。また，大分市敷戸団地でも，空き店舗を活用した拠点運営を行う予定であったら，コロナ禍の影響により，開設が2022年５月にずれ込んだ。そのため，２０２２年度末までの延長申請を行い，次年度も継続して研究を行う。

今後の研究の推進方策

日の里団地については，2022年度に，他大学や行政・民間と共に研究チームを立ち上げて，現地で行われている新たな団地再生のスキームについて分析検討を行う。敷戸団地では，2022年５月より空き店舗活用の拠点運営を主体的に行うことで，クリエイティブコミュニティ創出の実践活動を行いながら，アクションリサーチとしてそのプロセスを考察する。以上の分析を通して，郊外住宅地におけるクリエイティブコミュニティの創出のポテンシャルについて知見をまとめる。

次年度使用額が生じた理由

2021年度が最終年度であったが，コロナ禍の影響で十分なフィールドワークができなかったことから，1年間の研究期間延長申請を行い，1,113,573円を2022年度に繰越した。
2022年度には，日の里団地においては，地域拠点の利用状況等に関する現地調査を行う。敷戸団地においては，5月より空き店舗を活用した拠点の自主的運営を通して，新たなクリエイティブコミュニティ創生の取り組みを行う。これらの現地での調査・活動を通して得られた知見から，郊外ベッドタウンにおけるクリエイティブコミュニティ創出に関する指針等をまとめる。