研究課題/領域番号 |
19K04797
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
大崎 淳史 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (30434004)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小学校 / 児童 / 発達障碍 / インクルーシブ教育 / 授業 / ICT / 電子黒板 / 掲示物 |
研究実績の概要 |
研究課題2として、教室回りの設え、活動展開、教室回り壁面の情報伝達利用の実態を明らかにするため、ICTを活用しインクルーシブ教育を積極的に展開するY小(茨城県)、Fm小(茨城県)、K小(東京都)、Fk小(広島県)、О小(大阪府)を対象に訪問調査を行った。 授業観察の結果として、Y小(ハーフオープン)では、チームティーチングを取り入れ、遅れがちな児童をサポートする。クラス専用のセミワークスペース(SWS)は授業中、「取り出し」の場に使用されていた。Fm小(セミオープン)では、ある事情からクラスに入れなくなってしまった児童が個別の支援を受けていた。いずれ復帰できるようクラスとの距離を保ちながらOSで配膳台を机替わりにして授業に参加していた。K小(片廊下)では、6年社会科の授業で各自の意思に基づき、理解が進んでいる児童は教室後方で掲示された授業ポイント(A4)に沿って自主的に学習を進め、理解が遅れている児童は教室前方で教師の話を聴きながら学習を進める様子が見られた。 教室回り実測の結果として、5校対象クラスの前方壁面掲示率(掲示物の壁面全体に占める割合)は7.8%だった。全体を比較しても前方壁面の掲示量は少ない。授業時、児童の集中を妨げる要因を取り除くためと考えられる。Y小では、教室を授業中心、SWSを学校生活中心にして掲示物の配置が棲み分けられていた。ただし隔壁が三角に切り取られ開口を広げた意匠であるため、まとまった掲示を一箇所にレイアウトすることが難しく、雑多な印象を与えてしまう。Fk小(片廊下)、Fm小ではともに、教室後方で児童作品等のまとまった掲示が見られる。Fm小ではOS 側の壁が全面開口であるためか後方に様々な類の掲示物が壁いっぱいに貼られており、課題がある。O小(片廊下)では、発達障害をかかえる児童の机上に「声のものさし」が貼られ、個別の配慮がなされていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画では、インクルーシブ教育に取り組む小学校の情報伝達環境としての教室回りの壁面計画に資する知見を得ることを目的に、大きく3項目の課題について検討を進めている。課題1として、先進事例への電子黒板導入による教室回り壁面の情報伝達利用の変化を捉える。課題2として、ICT導入先進事例における教室回り壁面の情報伝達利用の実態を把握する。課題3として、海外先進事例における教室回り壁面の情報伝達利用の実態を把握する。 3年間の研究計画の1年目に、ICT を活用しインクルーシブ教育を積極的に展開するY小、Fm小、K小、Fk小、O小を対象に訪問調査を行った。課題2の検討をおおきく推進することができた。本検討成果は、2020年度日本建築学会大会で発表する(本大会はCOVID-19の影響により中止が決定された)。課題1については、当初予定を変更し、先進的インクルーシブ教育にとりくむK小を対象に検討をすすめる計画とした。K小からすでに内諾を得て、導入機器の選定、場所の検討を行っている。 おおむね順調に進展している、と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
課題1として、2020―2021年度にかけ、先進的インクルーシブ教育にとりくむK小を対象に、ICT機器を導入の上、教室まわりの実測、授業観察を行う。すでに2019年度に、内諾を得て、導入機器の選定、場所の検討を行っている。本課題は、今年度春夏に推進を予定していたが、COVID-19の影響から、すでに延期を決めている。状況が改善されれば今年度秋、もしくは2021年度に実施する。 課題3として、海外先進事例における教室回り壁面の情報伝達利用の実態を把握する本課題についても、やはりCOVID-19の影響から今年の実施は難しいと判断される。2021年度に推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
課題1について、当初はM小(千葉県)に電子黒板を複数台導入し、課題を推進する予定だったが、これを変更する。 2020―2021年度にかけ、先進的インクルーシブ教育にとりくむK小を対象に検討をすすめる計画とした。K小からすでに内諾を得て、導入機器の選定、場所の検討を行ってい。「WizeFloor」を今年度に導入する予定である。
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