研究課題/領域番号 |
19K04800
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
式 王美子 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (10512725)
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研究分担者 |
坂西 明子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00316085)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 都市住宅政策 / 民間賃貸住宅 / 家賃補助 / 居住移動 / 居住地選択 / 低所得世帯 |
研究実績の概要 |
本研究は、長年の施策実績のある米国を主な研究対象とし、家賃補助政策における移住効果の可能性と課題を考察することを目的とする。2020年度は、2019年度から引き続き、米国研究についてはロサンゼルスを主な研究対象地として、UCLA(University of California at Los Angeles)ルイス研究所(Lewis Center for Regional Policy studies)に客員研究員として在籍し、研究所の協力を得て研究作業を実施した。
米国連邦政府都市住宅開発省(HUD)が所有する家賃補助受給者の個人データの取得に向けて、研究プロジェクトを立ち上げ、データライセンス申請を行い、UCLAでの倫理審査、UCLAとHUDとの法的手続きなど、データの取得に向けての手続きを実施した。
また、米国での家賃補助の居住地拡大効果に関する学術文献のレビューや、ロサンゼルス市における家賃補助制度の実施実態に関する資料レビューを実施し、研究成果を、日本都市計画学会交際交流セミナーで発表したほか、大学紀要『地域情報研究』に論文としてまとめて発表した。また、ロサンゼルス都市圏の公営住宅や人口動向に関する 政府統計やGISデータの収集・分析を実施した。その他には、過年度より実施している京都市公営住宅申込者についての研究の成果を論文としてまとめることができ、来年度明けに学会誌への投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究課題の3領域について一定の研究作業を実施することができたが、以下の理由により研究作業が遅れている。
①2020年1月以降の世界的なコロナ・ウイルスの拡大を受けて、米国政府により断続的長期的に外出禁止令の発令されたため大学や関係政府機関が閉鎖し、通常どおりの研究作業が困難になった。 ②2020年度における国際共同研究強化Aの採択を受けて米国研究についてより長期的な研究に向けて研究計画の見直しを実施した。 ③コロナ禍とも相まって、データの貸与についての行政機関や関係機関との協議が長引いた。
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今後の研究の推進方策 |
前述の研究作業の遅れに関して次のように対応したい。国際共同研究強化Aの採択を受けて、米国での研究を当初の予定よりも1年延期して長期的な研究計画へと変更していたが、コロナ禍による影響も考慮してさらに1年研究期間を延長し、全体で2年の研究期間の延長を検討する。来年度については、国際共同Aの研究に重点をおき研究をすすめる。
懸案であった米国連邦政府住宅都市開発省の所有するデータについては、5月現在でようやくUCLAでのラインセンス取得を完了し、UCLA個人情報保護室にデータを移動させることができた。代表者の米国滞在は2021年度の8月までを予定しているため、それまでにデータ作業を進めるほか、9月以降のデータ作業については、UCLAでの研究員の雇用を検討するなどして研究作業を推進していく。
また、その他の研究課題に関しては、2020年度に実施した文献調査の成果をもとに、家賃補助制度における賃貸住宅の大家との関係性に関して、来年度の前半に、ロサンゼルス住宅課へのヒアリング調査を実施するほか、1970年代以降の公営住宅周辺地域の変化についても引き続き、政府統計データの数値分析やGISでの分析を実施する。コロナ・ウィルスへの対応策として、引き続き訪問調査や現地調査など直接接触を伴う研究作業を控え、研究関係者との相談やヒアリング調査では対面ではなく、オンライン・ミーティングを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規の科研費事業の採択を受けて米国を中心とした長期的な研究へと研究計画の変更を実施したり、コロナ・ウィルスの拡大により初年度においてアシスタントの雇用・委託事業計画が整わなかったことや、出張を中止したりしたことにより、出張費や人件費の次年度使用額が生じている。変更後の長期的な研究計画をもとに研究作業の整理を実施しており、今後は、主に都市データの分析補助等に関して人件費の使用を予定している。しかし、コロナ・ウィルスの世界的蔓延状態を受けて引き続き出張を伴う研究作業は控える。移動の安全性が確保・確認できる場合には研究計画を再度見直し、出張の可能性を検討する。
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