研究課題/領域番号 |
19K04808
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
倉方 俊輔 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30597224)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 民間集合住宅 |
研究実績の概要 |
本研究は、従来見過ごされてきた「黎明期マンションとはなんだったのか」という「問い」に答えるものである。1950-70年代の、形式の定型化や供給の寡占化が顕著になる以前の時期を「黎明期」と呼び、この時期の民間企業のダイナミズムを実証的に分析する。 2022年度は、第一に「社会にとって、黎明期マンションとはなんだったのか」という課題に対して、各社の経営者がいかなる経験に根ざし、どのような集合住宅の質を目指していたかを文献や当時の販売パンフレットなどから整理し、いかなる購買層の設定に基づき、個数・価格帯・立地などを設定していたかを分類した。加えて、1962年の区分所有法の制定や1970年の住宅金融公庫融資制度の適用といった法制度の推移を背景とした各社の販売手法に検討を加えた。また、心情に訴求する広告戦略の変化を新聞広告や販売パンフレットの言葉や図像から導出することも進めている。 第二に「建築界にとって、黎明期マンションとはなんだったのか」という課題に対して、設建築物に関しては、マンション立地の傾向、平面構成や断面構成といった計画的な特徴、モダンデザインや南欧風といった意匠の特色などに着目し、各社の方向性、全体としての変遷と相互作用を捉えた。また、設計者に関しては、インタビューと文献をもとに、社外の建築家との協働の仕方を明らかにした。 第三に「現在にとって、黎明期マンションとはなんなのか」という課題に対しては、戦前の史料を調査し、諸外国の現状を追加調査し、歴史的な検討から黎明期マンションの特質の一端を導き出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で関係者へのインタビューと資料調査を十分に行うことができなかったことが影響している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で関係者へのインタビューと資料調査を十分に行うことができなかったことに関しては、2023年度の研究で補い、取りまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で調査が十分に行えなかったため次年度使用額が生じた。次年度の調査に使用したい。
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