本研究では、修験道建築について1)各霊山における分布と現在の状況、2)建物の外観及び間取り・空間構成、3)建物内での儀礼の場の構築のされ方、を明らかにし、修験道が生み出した建築・空間の特質を示すことである。 本研究は現地調査と史料調査によって進めた。現地では建物の記録・検討を行い、史料からは失われた建物、行法の内容・次第に関する記述を抽出、分析した。そして、修験道建築の残存数・認知数は多くないことを明らかにし、修験道建築の特徴として、建物・空間は奥行を持つ平面となる、祭壇は最奥に周りを閉鎖的に造り出入口は空間の前方に設ける、空間のヒエラルキーは奥が高く手前に向かって低くなることを示した。
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