研究課題/領域番号 |
19K04821
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
山本 一貴 福山大学, 工学部, 講師 (90533977)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | モダニズム / 故郷 / ホーム / ジードルンク / 工業化 / 都市化 / 郷土保護 / 自然 |
研究実績の概要 |
3年度目の2021年度は,20世紀前半のドイツにみる近代化における新しい郷土像の追求に関して,文献資料の調査に基づく議論の分析を引き続き進めた。1933年までの20世紀前半のドイツで編集発行されていた雑誌とその記事を主な調査対象とする本研究は,交付申請書提出当初,資料の調査・収集を行うために,ドイツへの渡航し,現地の州立図書館や大学図書館など複数の機関への訪問を計画していた。しかしながら,2020年度に続き,2021年度も新型コロナウイルス感染症の拡大状況を受けて,やむを得ず断念した。そこで,国内からでも可能な範囲の資料調査・収集を行うとともに,これまでに調査,収集し得た資料等の整理と分析に重点を置いて研究を進めることとした。 結果,当該の雑誌編集に関与していた人物らによる住宅,建築,そして都市に関する著作の内容を精査することにより,新しい郷土像の追求に関する見解の把握を進めることができた。具体的には,H. de Friesの"Wohnstaedte der Zukunft"(1919)について,R. Eberstadtの"Handbuch des Wohnungswesens und Wohnungsfrage"(第1版:1909,第2版:1910,第3版:1917,第4版:1920),そしてK. Schefflerの"Die Architektur der Grossstadt"(1913)と比較し,それらの参照箇所と文脈を把握し,新しい郷土像の追求に関する議論の経過を析出した。また,ドイツにおける新しい郷土像の追求やその建築空間像が当時の日本の建築界でどのように捉えられたかを,セセッションやジードルンクといった20世紀前半の新しい建築思潮の伝播過程と関連づけて,分析,考察を進めることも成し得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画をしていたドイツでの調査を,新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて,2020年度に続き2021年度も断念したが,これまでに収集した文献資料の精査が成し得た。以上から総合的に判断し,「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,ドイツでの調査を計画しているが,2020年度,2021年度に引き続き,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,制限を受ける可能性が高い。 [ステップ1]の文献資料の調査に基づく議論の分析については,これまでに調査・収集できた文献資料の分析を進めるとともに,現地の所蔵機関への照会等,国内からでも可能な調査を引き続き試みる。 [ステップ2]の現地調査に基づく建築空間像の分析についても,これまでに調査・収集できた文献資料に所載の図面や写真等の図版の情報によって補完するなど,手元にある資料と手段により可能な調査を試みる。 現時点でもなお,感染症の拡大終息と調査訪問先の機関等の対応が見えづらいが,現地での調査が可能になることも想定し,海外渡航および訪問先の状況について積極的に情報収集を継続して行い,状況の変化に応じた対応が円滑に行えるように準備を整えておくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
まず,次年度使用額が生じた理由を述べる。これは,当初計画をしていた,ドイツへの海外渡航を伴う文献資料の調査および現地調査を,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,2年連続で行わなかったことが大きい。 次に,使用計画を述べる。ドイツへの海外渡航を伴う文献資料の調査および現地調査にかかる旅費等への使用を計画している。しかし,2020年度そして2021年度と同様に,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,延期または中止を余儀なくされることが想定される。このことに対応して,国内外の機関の協力を得て,国内からでも賃借・複写等により文献資料の調査収集を進める。そのための現物貸借費や複写費,送料等に使用することを計画している。また,いっそう円滑に調査分析を進めるため,パソコン及び周辺設備機器の充実に使用することなども計画している。
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