研究課題/領域番号 |
19K04822
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
千代 章一郎 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (30303853)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ル・コルビュジエ / 装飾芸術 / オーギュスト・ペレ / シャルロット・ペリアン |
研究実績の概要 |
2-0 昨年度からの継続研究課題:19世紀後半から20世紀にかけてのフランス装飾芸術の再解釈については、ル・コルビュジエのドイツ装飾芸術運動の解釈を通して、「手仕事と機械生産」、あるいは「装飾と建築」という従来の二分法が必ずしも成り立たず、その矛盾を克服するかたちで「装飾(デコール)」概念が変容していく過程を理論的に考察した。また、住宅作品の分析を通して、それが装飾=衣服論というかたちでオーギュスト・ペレからル・コルビュジエへ受け継がれたものであることを分析した。また、ル・コルビュジエにおける「装飾」をめぐるこれらの主題は、ドイツは言うまでもなく、イギリスの建築潮流においても並行関係があることが見出された。 2-1 ル・コルビュジエとペリアンの協働 ペレからル・コルビュジエへと至る「装飾(デコール)」の歴史的変容を明らかにしていく一方、ル・コルビュジエと同時代のフランス建築思潮における「装飾」の展開を捉える研究に着手した。端緒として、ル・コルビュジエからの影響を受けたアイリーン・グレイの住宅作品の分析を進めると同時に、ル・コルビュジエのアトリエに所属したシャルロット・ペリアンとの共同形式について分析を進め、ル・コルビュジエに特徴的な家具作品のいくつかがペリアンに多くを負っていることを分析した。さらに、ペリアン自身の「装飾」概念についても、ペリアンの言説を整理して分析し、ル・コルビュジエとは異なる「装飾」概念を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの流行によって、パリを中心とする重要資料収集調査が不可能であったため、この点に関しては大幅に遅れている。しかし一方、研究協力者(田所辰之助先生、杉山真魚先生)との共同研究がリモートワークのかたちで格段に進展した。およそ1.5ヶ月のペースで討論し、数本の共著論文の成果が上がっていると言う意味では、進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
2-2 ペリアンをはじめとする「装飾(デコール)」の同時代的展開、とりわけUAM(近代芸術家同盟)の建築家・装飾家の作品と言説の分析を進める。UAMに属した中でも、ペリアンとル・コルビュジエ両者と関係が深く、また共通する制作主題を持っていたジャン・プルーヴェについても重点的に研究を進める予定である。資料収集については、パリ装飾芸術美術館図書館におけるfonds UAM、パリポンピドゥセンターfonds Prouvé;、ムルト=エ=モゼル県fons Prouvéなどにおいて資料精査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行のため、研究遂行に不可欠な海外出張が不可能となったため。
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