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2022 年度 実績報告書

フランス近代住宅における「デコール」の変容から見る近代建築史の新しい叙述

研究課題

研究課題/領域番号 19K04822
研究機関島根大学

研究代表者

千代 章一郎  島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (30303853)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードシャルロット・ペリアン / UAM(近代建築家同盟) / フォルム・ユティール / 装飾
研究実績の概要

最終年度に実施した研究の成果:「デコール」の同時代的展開:
昨年度からの継続課題であるアトリエ・ル・コルビュジエに在籍した建築家のなかでも、シャルロット・ペリアンにおける「デコール」の展開を研究した。「装備」という新しい「装飾(デコール)」概念が、ペリアンにおいてさらに空間における身振りという主題にまで敷衍されること指摘した。身振りを誘引する装飾という主題は、ペリアンにおける独自の主題設定であるが、そこには日本の民芸運動との関連も認められた。一方、1929年から戦後にかけて、建築家・装飾家・芸術家(いわゆるインテリア・デザイナーの当時の呼称)の協働を掲げたUAM(近代建築家同盟)はペリアンらを中心として「フォルム・ユティール」(有用な形態)という主題を設定して、建築(壁)・家具とは異なる「デコール」の新しい仕掛けを考案した。この主題設定においては構造躯体としての「壁」の概念と壁との分離がますます困難となり、一つの環境として空間を理解しようとする理念が認められた。

研究期間全体を通じて実施した研究の成果:
建築作品における「装飾(デコール)」の近代性という主題について、その変容の見取り図を叙述することができた。結節点となるのはル・コルビュジエであるが、少なくとも「デコール」の史的展開はル・コルビュジエに最も影響を与えたオーギュスト・ペレに遡ることができ、ル・コルビュジエを経由して、シャルロット・ペリアンらにおいて建築/装飾の二元論を解体するような理念として引き継がれていく。そこに通底する主題は、ペレにおける「肉」、ル・コルビュジエにおける「装備」、ペリアンにおける「身振り」として表現される身体性の問題である。その意味で、20世紀における「デコール」は、ウィトルウィウス的な建築論の伝統を引き継いでいるとも言える。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ル・コルビュジエの「人間の家」の制作過程における架構と装飾 その2:「装飾」としての「装備」の構想過程2023

    • 著者名/発表者名
      千代章一郎
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集

      巻: 88 ページ: 697-706

    • DOI

      10.3130/aija.88.697

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Japanese Anonymous Design in International Modern Culture2022

    • 著者名/発表者名
      Shoichiro Sendai
    • 雑誌名

      The Journal of the Asian Conference of Design History and Theory

      巻: 4 ページ: 144-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「装備」の制作におけるシャルロット・ペリアンとル・コルビュジエの共同性2022

    • 著者名/発表者名
      千代 章一郎
    • 雑誌名

      デザイン理論

      巻: 80 ページ: 7-21

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ル・コルビュジエの「人間の家」の制作過程における架構と装飾 その1:「傘」と「蜂窩」の架構と生活空間構成2022

    • 著者名/発表者名
      千代 章一郎
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集

      巻: 87 ページ: 2049-2059

    • DOI

      10.3130/aija.87.2049

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] シャルロット・ペリアンにおける「装飾」概念の変容2022

    • 著者名/発表者名
      千代章一郎・杉山 真魚・田所辰之助
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集

      巻: 87 ページ: 2260-2268

    • DOI

      10.3130/aija.87.2260

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シャルロット・ぺリアンにおける「フォルム」の概念形成と「装飾」:「アン・フォルム」2022

    • 著者名/発表者名
      千代章一郎
    • 学会等名
      日本建築学会近畿支部研究報告集
  • [学会発表] シャルロット・ペリアンにおける「フォルム」の概念形成と「装飾」:「フォルム・ユティール」2022

    • 著者名/発表者名
      千代章一郎・杉山真魚・田所辰之助
    • 学会等名
      日本建築学会学術講演梗概集/建築デザイン発表梗概集

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公開日: 2023-12-25  

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