建築作品における「装飾(デコール)」の近代性という主題について、その変容を叙述した。結節点となるのはル・コルビュジエであ るが、「デコール」の史的展開はル・コルビュジエに最も影響を与えたオーギュスト・ペレに遡ることができ、ル・コルビュジエを経由して、シャル ロット・ペリアンらにおいて建築/装飾の二元論を解体するような理念として引き継がれていく。そこに通底する主題は、ペレにおける「肉」、ル・コルビュジ エにおける「装備」、ペリアンにおける「身振り」として表現される身体性の問題である。その意味で、20世紀における「デコール」は、ウィトルウィウス的な 建築論の伝統を引き継いでいるとも言える。
|