研究課題/領域番号 |
19K04826
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
横手 義洋 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (10345100)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アーツ・アンド・クラフツ |
研究実績の概要 |
アメリカ住宅史におけるバンガロー・スタイルの位置づけに関して検討を行った。「バンガロー」自体はコロニアル住宅や別荘を特徴づける住宅様式を起源とするが、米国においてはアーツ・アンド・クラフツ運動の影響下で一般戸建住宅として頭角を現した。平屋建てを基本とすることから、19世紀末にはプレーリー・スクールとの親和性も高く、全米に数多くの作品が確認できる。 ロサンゼルス近郊パサデナもバンガロー・スタイルの実験的舞台となった。いまでこそ高級住宅地として知られるパサデナであるが、もともとは東部からの移民を受け入れるインディアナ・コロニーとして計画された。アメリカ版アーツ・アンド・クラフツ運動と目される「クラフツマン」の活動にも、新たな建築的理想の一端がバンガロー住宅として確認できる。 グリーン・アンド・グリーンによるギャンブル邸はその代表作であるが、建築家自体はとくにカリフォルニアに縁があったわけでなく、MITに学んだあと、家族とともにカリフォルニアに移住をしてきたのであった。この移動の途上でシカゴ・コロンビア博を訪れ、少なからず日本文化に感化され、それがギャンブル邸の内装にも一部反映されている。 19世紀から20世紀にかけての世紀転換期に、東部からパサデナへの人の移動とともに、クラフツマン運動、バンガロー住宅が文化的移動として重ねられている点が興味深い。パサデナの住宅地としての発展は、理想的郊外住宅地としての側面でも分析可能であり、引き続き検討を重ねていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍中の2年間に計画通りに調査活動ができなかったことによる停滞がいまだに尾を引いているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が最終年度となるため、やり残している調査活動を終えるとともに、これまでの作業を総括し学術的な成果として取りまとめることに全力を尽くす予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍中で実施できなかった調査研究費がそのまま残額として計上されている格好である。研究期間を1年間延長していただいたので、延長期間を有効活用し研究進捗遅延を取り戻す予定である。
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