平安貴族の住まいの寿命(存続期間)ならびに、寿命をめぐる住宅観について、以下の研究成果を得た。 平安宮内裏の平均寿命は約6年。貴族邸では11~12世紀に平均約15~16年。10世紀に寿命50年超え、11世紀に100年超えの事例がある。しかし12世紀は最長でも50年程度である。鎌倉時代13世紀の京外では平均約8年程度だが、100年超の事例もある。ただし長寿命は御堂化・寺院化によるもの。貴族邸の短命化の主因は頻発する火災である。火難から免れない厳しい居住環境が、長寿命を期待しない諦観、永続性の放棄という住宅観を醸成した。裏打ちするのは旧宅ではなく新造宅の解体・移築である。
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