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2020 年度 実施状況報告書

クランクトアロー主翼を有する超音速機の過渡的流れ構造と動的空力メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K04833
研究機関室蘭工業大学

研究代表者

溝端 一秀  室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00271875)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードクランクトアロー翼 / 姿勢変化 / 動的空力 / 煙流線 / PIV / 風洞試験 / CFD
研究実績の概要

亜音速・超音速飛行性能を両立できるクランクトアロー主翼を有する超音速機形状について、その動的空力(姿勢変化角速度による空力特性)のメカニズム解明を目指している。機体模型に姿勢変化を与えつつ通風する「動的風洞試験」および同等条件の非定常CFD解析によって、機体表面の流れの剥離・再付着、クランクトアロー主翼が生成する渦系と尾翼の干渉、等の流れ構造を明らかにすることを狙っている。令和2年度の実績は以下の通りである。
1.煙流線法およびオイルフロー法による機体の周囲及び表面の流れ構造の解明: クランクトアロー主翼の動的空力メカニズムにおいては渦流れの空間的構造が重要と考えられることから、前年度に引き続き煙流線法に焦点を絞った。所要性能の高速度ビデオカメラをレンタル(無償)するとともに、所要性能のレンズを本助成金で購入した。動的風洞試験において種々の角速度でロール運動またはヨー運動する機体模型の周囲流れについて、時間的・空間的に高精細な可視化映像を取得した。
2.非定常CFD解析による機体周りの流れ構造の解明: 動的風洞試験と同等のロール運動またはヨー運動する機体模型の周囲流れを非定常CFD解析によって解き、空間流線や表面圧力分布を可視化した。このCFD解析を能率的に実施するために、本助成金によってワークステーションを購入した。
3.2次元PIV法による機体周りの流れ構造の詳細な解明: 高速度ビデオカメラの限られたレンタル期間(3週程度)において煙流線法を重点実施するため、PIV法の取り組みは次年度に回した。
4.総合的解析: 以上の取り組みを総合して、ロール運動によるロールダンピング発生、ノーズ長によるロールダンピング劣化、ヨー運動によるローリングモーメント発生、ノーズ長によるヨーダンピングの違い、等のメカニズムを、流線密度および機体表面圧力分布の観点から推定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和2年度は、実施項目毎に以下のように進捗のプラスマイナスがあるものの、総じておおむね順調に進展している。
1)煙流線法およびオイルフロー法による機体の周囲及び表面の流れ構造の解明: 当初計画として「煙流線法」および「オイルフロー法」による機体の周囲及び表面の流れ構造の解明を実施することとしていた。クランクトアロー主翼の動的空力メカニズムにおいては渦流れの空間的構造が重要であり、煙流線法による空間流れの可視化の優先度が高いと考えられることから、煙流線法に焦点を絞った。高速度ビデオカメラをレンタルし、当初計画以上に時間的および空間的に高精細な可視化映像を取得できた。
2)非定常CFD解析による機体周りの流れ構造の解明: 当初計画通り、非定常CFD解析によって機体周りの非定常空気流を解き、流れ構造や機体表面圧力分布を予測できた。
3)2次元PIV法による機体周りの流れ構造の詳細な解明: 前年度先行的に本格的なPIV計測に着手したが、令和2年度は、高速度ビデオカメラの限られたレンタル期間において煙流線法を重点実施し、PIV計測は次年度に回すこととした。次年度は、室蘭工大・航空宇宙機システム研究センターに導入済みの高速度ビデオカメラと高出力レーザー装置を用いて、本格的かつ継続的にPIV計測を実施する。

今後の研究の推進方策

令和2年度には、煙流線法およびPIV計測の双方に必須の高速度ビデオカメラを無償レンタルしたが、多くのレンタル希望者との競合によりレンタル期間が3週間程度に限られたことから、煙流線法を重点実施し、PIV計測は次年度に回すこととした。一方、令和2年度末に室蘭工大・航空宇宙機システム研究センターに高速度ビデオカメラ2台と高出力レーザー装置が導入されたことから、令和3年度はこれらの機材を利用して十分な計測を実施する計画である。
1.種々の姿勢変化運動において、煙流線法と高速度ビデオ撮影によって機体周りの渦流れ構造を高精細に調べると共に、機体表面での剥離・再付着が予測される箇所ではオイルフロー法で確認する。
2.同様の事項をCFD解析によっても調べる。その際、剥離・再付着を正確に捉えるために境界層メッシュを調整する。
3.2次元PIV計測を、上述の高速度ビデオカメラと高出力レーザー装置を用いて本格的かつ継続的に実施する。
4.以上の3通りの取り組みによって得られたデータを総合的に解析・評価して、種々の姿勢変化運動による動的空力メカニズムを解明する。

次年度使用額が生じた理由

残金は9,495円と少額であり、有用な使途が当面無かったことから、次年度に繰り越して次年度交付額と合算して有効使用することとした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 室蘭工大小型超音速飛行実験機の姿勢変化レートによる動的空力2020

    • 著者名/発表者名
      本田敦也,白方洸次,西田明寛,酒向塁,原口柊太,溝端 一秀
    • 学会等名
      第58回飛行機シンポジウム,講演論文番号JSASS-2020-5133-3A03,2020年11月25日~27日,リモート開催

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公開日: 2021-12-27  

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