研究課題/領域番号 |
19K04839
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
豊田 和弘 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (10361411)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 宇宙機帯電 / 放電閾値 / 表面電位計測 / ポッケルス効果 |
研究実績の概要 |
静止軌道では人工衛星は帯電し放電する。静止軌道での表面帯電では、紫外線による光電子電流と宇宙プラズマによる数十keVまでの電子が支配的となり、太陽電池パネルの帯放電試験では主に電子ビームが使用されている。帯放電試験ではカバーガラスと太陽電池の放電が発生する際の電位差の閾値を計測するが、私が近年行った実験では電子ビームを用いた時よりも紫外線を使用した方が閾値電圧が低くなるという結果を得た。閾値電圧が異なると放電のエネルギーが違うため、帯放電試験に影響を与える。本研究では、紫外線と電子ビームでの閾値の違いを明らかにすることを目的としている。実験では、放電閾値に影響を与えると考えれらるカバーガラス端面の表面電位をマイクロメーターのオーダーで計測することで評価する。これはポッケルス効果を用いた光計測によって実現する。 酸化ケイ素ビスマス(BSO)結晶は光学結晶であり結晶内の電界が変化することでポッケルス効果により屈折率が変化する。BSO結晶に偏向したレーザー光を照射すると、結晶を透過したレーザー光に電界による屈折率の変化に比例した偏向位相差が生じる。この偏向位相差により透過光強度が変化し、透過光強度を計測することでBSO結晶内の電界が求まる。本年度はポッケルス効果による表面電位計測系の構築を行った。具体的にはレーザーおよび光学レンズ等を購入し、まずは大気中でCCDカメラを用いBSO結晶を透過した光の2次元計測を行い、BSO結晶に印加した電界に応じて光強度が変化することを確認した。その後、真空中にBSO結晶を配置した実験へ移行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はポッケルス効果による表面電位計測系の構築が計画されていたが、実際にシステムを構築し計測を行なっており、概ね順調に研究計画が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度で構築した表面電位計測系を用いて、電子ビームまたは紫外線照射によるBSO結晶の表面電位を計測する。まず長距離顕微鏡の無い状態でBSO結晶表面を広く計測する。この際、非接触の表面電位計をXYステージで移動して表面電位計測し、参考データとする。次に長距離顕微鏡を使い、電子ビームと紫外線での帯電の違いが予想されるBSO結晶端での帯電分布をマイクロメートルオーダーの分解能で計測する。
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